前回繰延税金資産の計上については回収可能性の観点から特に検討しないといけない旨を記載しました。これについて、繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針という、回収可能性についての指針があるのですが、当該指針では繰延税金資産の計上において、スケジューリングの点や、収益力等の点からの取り扱いについて記載されています。
ここで、当該指針では収益力による課税所得の発生可能性から、分類が1から5まで定められており、例えば分類1であれば繰延税金資産は原則全額回収可能と判断されます。一方で分類5になると「原則として繰延税金資産の回収可能性はないものとする。」と記載されています。
この点、繰延税金資産の回収可能性は原則としてないものとされるのは、分類5については課税所得の発生が見込めないため、将来の税金削減効果は無いでしょという事ですが、前回触れた繰延税金負債の計上がある場合はどうでしょうか。繰延税金負債については、特殊な場合を除き計上が必要となりますが、計上された繰延税金負債のうち、資産除去資産部分は定期的に会計上償却されて、その償却に対して税務上は損金不算入にしますので、資産除去資産についてはスケジューリングが可能になり、将来少なくとも当該取崩しに関しては課税所得が発生する事になると思います。
つまり、分類5のような会社でも、資産除去資産の取崩しにより発生する分の課税所得見合いのスケジューリング可能な繰延税金資産は計上可能で、もしそのような将来減算一時差異が無かったとしても、分類5の会社はそれなりに繰越欠損を有するはずなので、最低でも繰越欠損の期限及び使用制限を考慮したうえでの繰延税金資産については計上可能だと考えます。