下水道受益者負担金と下水道負担金

公共下水道が整備された場合に、下水道受益者負担金や下水道負担金という名目で市町村に負担金を支払う必要が発生したりします。ここで、似たような名称ですが、それぞれの負担金についての会計処理は異なるものとなります。

まず、下水道受益者負担金は、都市計画法第75条に基づき下水道事業費の一部を負担する受益者負担金制度に基づくものであり、これについては繰延資産としての扱いになります。耐用年数は6年(法人税法基本通達7-2-5)で月々均等償却、但し繰延資産なので20万円未満の場合は一括費用処理が可能です。(法人税法施行令134条)また、長期の分割払いの時は基本通達8-3-4で下記の要件を満たせばその支出をした日の属する事業年度の損金の額に算入することが出来るとされています。

  1. その負担金の額が、その負担金に係る繰延資産の償却期間に相当する期間以上の期間にわたり分割して徴収されるものであること。
  2. その分割して徴収される負担金の額がおおむね均等額であること。
  3. その負担金の徴収がおおむねその支出に係る施設の工事の着工後に開始されること。

一方で下水道負担金は、下水道法に基づき公共下水道を使用する排水設備を新設し、又は拡張する場合において、公共下水道管理者に対してその新設又は拡張により必要となる公共下水道の改築に要する費用を負担することとなるものです。これについては法人税法基本通達7-1-8で水道施設利用権に準じて取り扱うとされているため無形固定資産となり、原則として耐用年数は15年で定額法により償却となります。

源泉所得税の納付遅延

従業員に対する給与や賞与、税理士に支払う報酬等は源泉所得税の徴収対象となり、徴収した源泉税は原則として給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納める必要があります。但し、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者であれば納期の特例の承認に関する申請を税務署へ提出することにより、半年分の源泉所得税を1月と7月の年2回まとめての納付とすることが出来るようになります。

ここで、徴収した源泉所得税について、納期限までに納付出来なかった場合については、不納付加算税等のペナルティがつくことになります。まず、不納付加算税については、国税通則法第67条によると、税務署からの告知が来てから納付した場合は納付金額の10%、自ら気づいて自主的に納付した場合は5%の金額となります。なお、不納付加算税については、納期限の1か月以内に納付した場合には免除(但し、過去1年以内に納期限後の納付が無い場合)され、また、計算された加算税が5,000円未満の場合も免除となります。

また、延滞税も課されることになります。延滞税は令和3年であれば、納期限後2カ月までは2.5%(特例基準割合+1%)、2カ月を経過する日の翌日からは8.8%(特例基準割合+7.3%)で計算されます。なお、国税通則法第61条3項で原則として納期限から1年を経過する日後の期間ついては延滞税の計算から控除され、計算された延滞税の金額が1,000円未満の場合は免除されます。

法人の休業

法人税については都道府県民税や市町村民税で均等割が発生するため、所得に関わらず資本金等の額や従業員数により一定額の税金が発生します。ここで法人の活動を一旦休業した場合はどうでしょうか。

結論としては、休業の届出(異動届)を税務署のほか、都道府県税事務所や市町村役場等へ提出することでほとんどの場合、休業後の均等割は発生しなくなります。ほとんどという点に関しては、市町村によっては、「休業中の期間も法人市民税均等割は課税されます。」とHPに記載されている自治体も中にはあるからです。

また、国税については均等割は無いので休業中で売上が無いと所得も発生しないため法人税は発生しないのですが、休業中いおいても休業中である旨を記載した別表の1については毎年提出する必要があります。

小規模企業共済

小規模企業共済とは、中小企業庁のFAQによると「小規模企業の個人事業主または会社等の役員の方が事業をやめられたり退職された場合に、生活の安定や事業の再建を図るための資金をあらかじめ準備しておく小規模企業共済法(昭和40年法律第102号)に基づいた共済制度です。いわば経営者の退職金制度といえるものです。」とあります。

加入資格があるのは、従業員数が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主及び会社の役員等となり、掛金は月額1,000円~70,000円の範囲で選択することとなります。拠出額は全額社会保険料控除となり、半年払いや年払いを選択も可能で、翌年度に属する月について前納した分についても拠出した年の社会保険料控除の対象となります。

共済金は予定利率1%固定の基本共済金に加えて、毎年度の運用収入等に応じて変動する付加共済金の合計となり、iDeCoと同様に共済金は一括でも年金でも受け取ることが出来ます。掛金納付月数が6カ月未満の場合は共済金として受け取ることは出来ませんが、6カ月以上であれば、事業廃止に伴い受領できる共済金の受取においては元本割れはありません。

また、何かあったときには、掛金の7割~9割の範囲で借入を行う事もできるので、節税対策、老後の蓄え以外に、緊急時の借入先候補としても有効活用できそうです。