組別総合原価計算

久しぶりに総合原価計算に触れることになりました。そもそも総合原価計算は大量生産品目に対して一定期間に要した原価の総額をその期間の生産量で割ることにより単位当たりの平均製造原価を算出し、例えば期末時点の仕掛品や製品の在庫金額を計算したりするために行う計算になります。

この総合原価計算にも、単純総合原価計算、工程別総合原価計算、組別総合原価計算、等級別総合原価計算等の種類があるのですが、このうち今回業務で触れたのは組別総合原価計算になります。

組別総合原価計算は、工場内で製品を複数種類製造しているような場合に、例えばA製品、B製品とそれぞれの製品群に要した原価を集計し、その期間の生産量を持ってそれぞれの製品群の製造単価を計算します。ここで、集計にあたっては直接的に各製品に紐づきやすい材料費等の直接費と、各製品に直接的には結びつけるのが困難な給与等の間接費があり、この要した間接費を何らかの基準によりそれぞれの製品群に配分する必要があります。この基準はその会社の考え方により、簡易にも詳細にも出来るのでどこまでやるかというバランスをとるのがポイントになると考えます。

非課税の出張手当

出張手当として出張をした従業員へ交通費等のほかに日当として支給をしている会社も多いと思いますが、これは出張に行く事で通常は要しない支出が発生する事に対しての補填という意味合いのものとなり、その範囲を逸脱すれば給与所得とみなされるリスクがあります。

ここで、所得税基本通達9-3において、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては

  • その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
  • その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

という基準が示されてはいますが、明確な基準とはいえません。当該支給額については所得税がかからないことから、節税対策の基本ともなっていますがあまりにも高額な日当だと、上記の通り給与所得とみなされる可能性もあるので注意が必要です。

また、同一労働同一賃金の観点からは、例えば職務内容が同じにも関わらず、雇用形態によってその支給額に違いがあるような場合には、その差額には当然合理的な理由が必要となります。

コミュニケーションツール

数年前までは主に電話、Eメール、携帯のSMS位が遠隔でのコミュニケーションで使用するツールだったように思いますが、今は様々な手段が出てきて離れていても多様なコミュニケーションが可能となっています。

私に関しても、電話やEメール等は従来通り使いますが、社内はチャットワーク、Zoomといった新たなツールを最近良く使うようになっており、クライアントとも数年前からLINEを使うようになり、最近では社内同様ZoomやSlackといったようなツールでのやり取りが増えてきています。

大変便利になった反面、どうコミュニケーションをとれば良いかの選択肢が増えていることもあり、どの場面でどういったアクションをとるかに悩む事も増えました。今も直接対面で話すのが好ましいと感じる方も当然おられますし、TPOに応じた対応がより必要になって来ているのだと感じています。

有価証券報告書の提出

有価証券報告書の3月決算の会社の他社事例を検索していると、6月前半にも関わらず提出されている会社がありました。その会社には2種類あり、既に提出前に株主総会が終わっている会社、そして株主総会の前に有価証券報告書を提出した会社です。

ここで、3月決算の会社は通常は遅くとも3カ月以内の6月中には株主総会を行う必要があるため、6月に行う会社が多いですが手続きに問題が無ければ5月に行う事は何ら問題はありません。一方、後者の株主総会前に有価証券報告書を提出するというのは昔はダメでしたが、今は法的にも問題ありません。

しかしながら、そもそも決算を締めて決算短信、事業報告や計算書類等の作成を短期間で行い、当然監査も受けるというタイトな決算のプロセスの中で、有価証券報告書も作成するというのは時間的にもかなり厳しいはずです。また、株主総会前に有価証券報告書を提出するには役員の一覧等、議案承認が前提としての記載等を一部含むことになり、万が一否決された時などはその後臨時報告書等の手続きが面倒という事もあるかと思います。

とはいえ、株主総会前に決算短信や計算書類等よりも情報量の多い有価証券報告書を閲覧出来ることは株主への情報提供という観点でより資するものであるというのは当然あると思います。

会計上の貸倒引当金

税務上の個別評価の貸倒引当金は「個別評価の貸倒引当金」で記載した通りですが、会計上の貸倒引当金は税務上の貸倒引当金とはその金額や判断等において異なってきます。会計上は貸倒懸念債権や破産更生債権等に該当する場合には個別に貸倒引当金の設定が必要となりますが、その判断は法的に手続きが進んでいる場合はもとより基本的に実質ベースとなります。

例えば破産手続開始日が事業年度末を超えた場合には、その事業年度の決算手続き中であっても、その事業年度での個別評価の貸倒引当金の税務上の形式基準は満たしません。一方で、会計上は事業年度末を超えていたとしても手続きを行う事が判明した時点で、通常はその実質的な状況は事業年度内に既に生じていたと考えられるため、その事業年度内で破産更生債権等として貸倒引当金を計上するのが原則としての処理になる事が多いかと思います。

とはいえ上場企業やその関連会社等でも無ければ会計上と税務上でタイミングや金額を合わせるケースが多いかも知れませんが、決算や来期予算の都合上で当期に損失を早く取込みたい等の事情であれば税務上の調整は必要になりますが、会計上の貸倒引当金の設定を検討しても良いかも知れません。また、その際は中小企業の会計に関する指針に基づき、臨時かつ巨額であれば特別損失に計上する事も忘れず検討するべきかと思います。