税務調査

税務調査と聞くと正直喜ぶ方はあまりいないかと思いますが、例えば私的な経費を法人の経費として使っていたりするオーナー企業の経営者からすれば、特にひやひやものでは無いでしょうか。ただ、一方で逆に税務調査での指摘により、会社が良い意味で変わるなんて言う事も実際あるのだと思います。

これは世間話で聞いた程度の会社の話ですが、その話に出た会社もオーナー社長の私的な経費が税務調査で問題となったそうです。そうなると、税務署側からすれば、それを役員賞与にして、法人税と社長の所得税の両方をいきたいと考えるのでしょうが、その会社でははっきりとした経緯は良く分からないですが、最終的にお咎め無しとなったとの事です。(因みに恐らくそれは税務署OB税理士先生の力だろうと話しておられました。)

点で見ればその時にお咎め無しで会社としても社長としても良かった一安心、となったのかも知れませんが、その後その時にお咎めなしとなったからか分かりませんが、会社の業績は下がっていく中で私的な経費使用は止まず、会社の業績悪化に拍車を掛けているようです。そんな話を聞いて、そのケースでいえば冒頭の逆パターンになったのでは、と考えてしまいます。

法人の事業の廃止

少子高齢化の進展もあり、後継者がいないために事業廃止を検討されている経営者の方も多いと思いますが、事業を廃止=会社を清算した場合にはどのような課税関係となるのでしょうか。

単純なケース(清算直前の純資産=残余財産の分配額)を想定しますと、例えば設立時から資本金の金額は変わらず、株式は100%社長が持っていた場合に会社を清算すると、残余財産の分配額から資本金の額を控除した額はみなし配当となり、社長の配当所得として課税される事となります。非上場会社の配当所得は、確定申告不要制度の金額を超える場合に総合課税となりますが、みなし配当となる場合にその金額内に収まる事は稀だと思いますので、基本的に累進課税により課税される事となります。

そうすると、 費用を計上して清算直前の純資産を少しでも減らせばみなし配当の額も少なくなりますので所得税は減る事になりますが、1つの方法として役員退職金を貰ってから清算するという形が知れ渡った方法かも知れませんが、有利になる可能性が高い方法としてあります。

この場合、退職金なので当然社長の退職所得となりますが、退職所得は(収入金額-勤続年数に応じた退職所得控除)×1/2で計算されるので、上手く使えば節税して清算する事が出来るのです。

建物と土地の取得

事務所用にと中古物件の建物を土地と共に購入した場合、契約書上では建物と土地の取得価額が分からないケースがあります。まだ消費税額の記載があれば割り返して建物部分の取得価額が算出出来るのですが、それも記載が無く、業者に聞いても分からないとの返答しか貰えないと、当然ながら自分で何とかして分けなければいけません。

この際に、実務上は時価や固定資産税評価額、建物の標準的な建築価額を用いて分ける事が多いと思うのですが、個人的に一番簡単なのは土地と建物の固定資産税の評価額の比率を使う事でしょうか。珍しいですが、建物の築年数が古いケース等では、按分してみると建物なのに少額減価償却資産の特例で全額費用にという事もありました。

因みにですが、付随する費用のうち、不動産取得税や登記に要する費用等は固定資産の取得価額に算入しない事が出来ます(基本通達7-3-3の2)が、仲介手数料や固定資産税精算金は取得価額に含めなければいけません。

差額原価と差額収益

扱っている製品の中で取捨選択を迫られた際に、単純に財務会計の範疇で計算された原価をベースとした判断は、かえって会社をより苦しくする結果となる事があります。ある経理担当者から、利益率改善のために製品を絞らないといけないと幹部陣は考えているが、社長からは製造業は作ってなんぼだと言われて判断できないという話をされたことがあります。これを聞いて経営者は何となくでも感覚として持っているという事なんだなと思った事があります。

つまり、担当者としては、足を引っ張っている製品からは撤退しないといけないと考えている一方で、経営者はそんな事をしてリソースを別に振り向けられなければ抱えている固定費をどう賄うのかという事を感覚的に言っているというところでおそらく話が先に進まない状態になっているのです。

こういった時は、差額原価と差額収益を出してみていくつかのケースを想定してみると良いのかも知れません。当然といえば当然なのですが、ある製品から撤退した場合には、当該製品の売上は下がります。ただその際に、それに紐づいて下がる費用と撤退したとしても依然としてかかる費用の両方があるので、紐づいて下がる費用を抜き出し、失う売上と下がる費用を比べてみてどうか、もし代替的な売上が見込めるのであればそこに浮いたリソースをあてた場合の案も作って比べる。といったような事をしてみて、どの製品から撤退するのか、しないのか、どういった代替案があるのかという事を差額原価と差額収益から協議する事も必要かと思います。

予算

予算に関して策定されている会社は多いと思いますが、その予算に対してのコミットという点では、各社やはり三者三様です。

予算を策定する目的からして、目標値としての意味合いをもたせたり、金融機関向けにしょうがなく作っていたりと様々なので当然なのですが、せっかく作る以上は会社のために有効活用していきたいものです。

策定の仕方に関しても、経営層のみでトップダウンで決めてしまうパターンもあれば、ボトムアップで現場から上がったものをただ集計するパターンもありますが、両者の関与が無いと前者であれば現場感覚から乖離した達成不可能なノルマとして独り歩きしてしまったり、後者だけだと逆に達成確実な過度に保守的な予算となる恐れを招きます。そうなってしまうと予算としての効能は薄れてしまうので、経営層は例えば予算策定において自社として外せない計数的なポイントを決めて、そのポイントを外さないような詳細を各部署から上げて貰い、協議しながら固めるという形が両者納得感のある予算となり良いのでは個人的には思います。

確定申告期限延長②

2月28日のブログで個人の確定申告について期限が延長された旨を記載し、その際に法人はどうなんだろうという事も書きましたが、税務通信の3596号でこれについての記事が載っていました。

参議院の予算委員会で公明党の議員さんが国税庁の方に質疑されているようで、結論からいうと法人については一律延長ではなく、個別指定の申請で対応となるようです。つまり、平たく言えば災害その他やむを得ない理由かどうかを事情を聴いて個別に税務署側で判断し、認められれば延長しますよという事になるようです。

所得税については申告する期限が決められており、その期間に特定の箇所に人が殺到する事がある事を考慮しての一律延長である事を考えれば、法人についてはコロナの要因で無理そうやったら申請、相談に来てねという個別対応の中で認めていくという方が良いという判断なのでしょう。

健康保険料の源泉徴収

健康保険料の源泉徴収については、健康保険法167条により前月の標準報酬月額に係わる保険料を控除する事が原則となっています。つまり、例えば月末締め翌月払いの給与であれば給与支払時に前月分の保険料を徴収し、給与支払月に納付という流れになります。

ただ、当該源泉徴収について(個人的に)ややこしいのは、支払ベースで当月前月を判断するため、上記のような前月締め翌月払いのような場合には、給与の締め支払いと健康保険料も一致するのですが、当月締め当月払いの給与のクライアントの場合には、そこで源泉徴収される保険料はあくまで前月のものになるという点が考えていていつもこんがらがります。

因みにじゃあ当月締め当月払いの給与の時の退職時の健康保険料の源泉徴収はという話ですが、これは当月保険料も含めた2か月分を最終給与で源泉徴収することが出来ます。

貸付金に変更した売掛金の貸倒に係わる消費税

税務通信3593号で私自身にとってタイムリーな記事がありました。表題のとおり、売掛債権が滞留した場合に準消費貸借契約に切り替えて貸付金として契約をし直す場合があると思いますが、その後貸倒れとなった場合の消費税の処理についてです。

そもそもの前提として売掛債権が貸倒れた場合には、当該売掛債権に含まれている消費税額について控除が出来、一方で貸し付けたお金に関しては貸倒れたとしても消費税の調整は行われません。

それでは元々売掛金だったものが貸付金になって貸倒れとなった場合はどうなのかという事ですが、結論から言うと消費税の調整は行われず控除できないです。

準消費貸借契約等の契約を結ぶ段階で売掛債権は一旦無くなるので、当然といえば当然ですが、売掛金から貸付金に変わったと考えるよりも、一旦回収してすぐに貸し付けたと考えるとすんなり理解出来るような気がします。

創業者への役員退職金

税務通信の3595号で創業者である元代表取締役に対して⽀払った役員退職給与の中に「不相当に⾼額な部分の⾦額」があるか否かを巡り争われた事件についての記事がありました。

国が抽出した同業類似法⼈3社の平均功績倍率「1.06」に基づき算定した金額と、支払われた金額とに大きな乖離があったという事のようですが、会社側は功績倍率「8.00」で支払っていたようです。

確かに1.06倍と8.00倍では全然違うのですが、法人税法施行令70条2項に「当該役員のその内国法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額」とある以上は平均功績倍率を使う事が合理的となるのでしょう。

私の認識的には退職時の役職が例えば社長であれば3倍という事が頭にありましたが、会社の8倍という基準は高すぎたとしても、創業社長で会社を大きくされた方の功績倍率なので心情的には 1.06倍は低すぎるんではないかと感覚的には思ってしまいます。