差額原価と差額収益

扱っている製品の中で取捨選択を迫られた際に、単純に財務会計の範疇で計算された原価をベースとした判断は、かえって会社をより苦しくする結果となる事があります。ある経理担当者から、利益率改善のために製品を絞らないといけないと幹部陣は考えているが、社長からは製造業は作ってなんぼだと言われて判断できないという話をされたことがあります。これを聞いて経営者は何となくでも感覚として持っているという事なんだなと思った事があります。

つまり、担当者としては、足を引っ張っている製品からは撤退しないといけないと考えている一方で、経営者はそんな事をしてリソースを別に振り向けられなければ抱えている固定費をどう賄うのかという事を感覚的に言っているというところでおそらく話が先に進まない状態になっているのです。

こういった時は、差額原価と差額収益を出してみていくつかのケースを想定してみると良いのかも知れません。当然といえば当然なのですが、ある製品から撤退した場合には、当該製品の売上は下がります。ただその際に、それに紐づいて下がる費用と撤退したとしても依然としてかかる費用の両方があるので、紐づいて下がる費用を抜き出し、失う売上と下がる費用を比べてみてどうか、もし代替的な売上が見込めるのであればそこに浮いたリソースをあてた場合の案も作って比べる。といったような事をしてみて、どの製品から撤退するのか、しないのか、どういった代替案があるのかという事を差額原価と差額収益から協議する事も必要かと思います。

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