株式会社の機関の変更について

前回記載の通り、今回は取締役会設置会社を非設置会社にする社内手続き、非設置会社を設置会社にする社内手続きを簡単に触れたいと思います。

設置会社を非設置会社にする際ですが、定款を変更することとなるため、株主総会の特別決議により、取締役会を廃止する決議をしなければなりません。この決議は特別決議 (出席株主の議決権の3分の2以上の多数) にて行われます。また、株式譲渡制限についての記載も変更しないといけない場合には、株主総会の特殊決議(議決権を行使できる株主の半数であって、当該株主の議決権の 3分の2以上の多数)により行う必要があります。

非設置会社を設置会社にする際にも定款の変更となるため、株主総会の特別決議等が必要となります。特別決議においては、取締役会設置会社になる旨等の決議を行います。また、取締役は少なくとも3名必要になるため、新たに選任する場合の決議、監査役を選任する決議は普通決議(出席株主の議決権の過半数)となります。その後、取締役会にて代表取締役を選任します。

勿論上記以外にも変更の登記をしないといけない等他の手続きも必要となります。いずれにしても会社の今の実態にあった機関設計が会社法になってから柔軟に出来るようになっていますので、検討の余地はあるかと思います。

株式会社の機関について

私が公認会計士試験2次試験の勉強をしていた時は会社法ではなく、商法の時代でした。株式会社の機関についても現在のような柔軟な機関設定ではなく、取締役会、代表取締役、監査役も必須でした。

その後会社法となり、現在は定款に株式譲渡制限のない公開会社等でなければ取締役会非設置会社も認められるようになりました。取締役が3名以上いないと取締役会は構成出来ないため、いまでは新たに設立される株式会社では取締役はオーナー1人という会社が多いのでは無いでしょうか。

一方で、昔の名残から取締役会設置会社となっており、数合わせのために監査役も含めて名ばかり役員の親族を何名か含めて構成されているという会社もあるかと思います。

また、例えば閉塞感のある組織を変えるために、世代交代に際して古参の役員で構成された取締役会を一掃し、新社長1人を役員としてドラスティックに改革していくという事も出来るようになっています。

そこで次回では、取締役会設置会社を非設置会社にする手続き、非設置会社を設置会社にする社内手続きについて簡単に触れたいと思います。

有期雇用契約の期間満了について

有期雇用契約は、当然契約期間が決められており、当初契約期間が来たときは更新の場合は契約期間が延長され、満了の場合は退職という形になるかと思いますが、ここで契約期間満了で退職の場合でも、雇用関係の助成金を受けているような会社は注意が必要です。

それは労働契約を1回以上更新し、かつ、雇用された時点から継続して3年以上雇用されているかどうかによって変わってきます。もしこの条件に当てはまる労働者本人が更新を希望しているにもかかわらず、更新がなされない場合には解雇等による離職とみなされ、雇用関係の助成金の受給に一定期間影響が出るようです。なお、労働者側から見るとこの場合は特定受給資格者となり、失業給付の基本手当の受給にあたって給付制限期間が無かったり、算定基礎期間次第で給付日数が一般の受給資格者よりも多くなったりするのですが、継続雇用期間が3年未満の場合でも本人が更新希望にもかかわらず、更新がなされない場合は特定理由離職者となり、令和4年3月31日までは特定受給資格者とみなされます。

したがって、労働者側から見ると3年以上でも未満でも、希望しない期間満了の場合には失業給付の受給について一般の受給資格者よりも条件が良くなりますが、雇用関係の助成金を受けている会社から見れば大きな違いが生じますので注意が必要です。

有給休暇

専門分野では無いのですが、2019年4月から始まった5日の有給休暇取得義務について質問を受ける事があります。

取得義務化により、2019年4月以降に10日以上有給休暇が付与される従業員については、1年以内に少なくとも5日の有給休暇取得が必要となります。法改正前は、取得してもしなくても問題無かったですが、今後は罰則規定もあるため会社側から取得が5日に満たない人に呼びかけていく必要があります。

一方、労基署に提出の必要ない労使協定を締結する事で、有給休暇の計画的付与も認めれていますが、計画的付与が決まった有給休暇については、時季指定権も時季変更権も認められないため、注意が必要なようです。

因みに質問を受けた会社では、強制ではない推奨日というものを設けて取得をやんわり促しているようです。

非上場株式の株価算定

株価の話がクライアントで出たので今回は非上場株式の株価についてです。

例えば大会社の区分となる会社が、事業承継等の関係で財産評価基本通達に従い株価を算出する際、過去は儲かっていて含み益がある不動産も多く所有しているが、今は赤字が続いているような時は、どちらかというと「株価を安く算出したい=類似業種批准方式で行いたい。」という風に考えられるかと思います。

しかしながら、赤字が続いていて配当もしていない、という事になると批准要素が1や0になってしまい、類似業種批准価額のみでの算出というのは出来なくなってしまうため、頭を悩ます事になるかと思います。

そんな時は直前期に配当を行っておけば良いという話もあるかと思いますが、「特別配当,記念配当等の名称による配当金額で,将来,毎期継続することが予想できない」配当は含まれないという事や、例えば株式の贈与の直前の1期だけ配当を出すというのはかなり不自然なため、やはりリスクがあるかと思います。

業務効率化

今、最終的に経理の数字に繋がるまでの部分の業務効率化を進めていたりします。10年以上前に上場企業で経理の仕事をしていた時にも同じような事をしていましたが、その時はまだ社会人経験も浅く、かなり手探りの感が強かった記憶があります。

今はそれから10年以上社会人を経験しており、経理や会計関連以外の仕事も経験したりしましたので、その時と比べると会社の担当の方にヒアリングしていても、こんな感じの状態、フローかなとピンとくる事が当然ながら多くなっています。

今は現状ヒアリングとそれの書き出しをしていますが、今後は非効率な流れの見直し、勿論人も含めてですが、現在使えるツール等のリソースの配分の見直しも含めてより良い形にして行きたいと考えながら進めています。

ゴルフ会員権

ゴルフ会員権をあまり見かけることが無いのですが、稀に見かけると大体取得価額を結構割っているという印象です。

そんな折、ゴルフ会員権の処理(税務)に関して質問を受けました。

会計上の処理としては、

株式形態の場合は、時価がある場合は著しい下落で回復見込みがある場合を除いて減損、時価無しの場合は実質価額の著しい悪化により評価減

預託保証金形態の場合は、時価がある場合は著しい下落、 時価無しの場合は回収可能性に疑義がある場合は、預託保証金を上回る部分は直接評価損を計上し、預託保証金部分は貸倒引当金を設定

という処理になります。

税務上の処理としては、 株式形態のゴルフ会員権は、税務上、相場の有無にかかわらず、法人税基本通達9-1-9等に基づく処理となるため、評価減の余地がありますが、預託保証金形態の場合は、退会の届出の提出や破産手続開始の決定等により、預託金返還請求権の全部又は一部が顕在化した場合にしか貸倒損失、貸倒引当金の対象とすることは出来ません。

続・派遣法改正関連

今までどちらかと言えばこちらから派遣法改正の話を投げかける事が多かったですが、派遣先様に派遣法改正関連でお呼び頂く事も出てきました。他社も徐々に動いてきているようで、その動きが気になるところなのですが、やはり労使協定方式がほとんどのようです。(たまに派遣先均等均衡方式でと派遣会社から言われる事もあるようですが…)

しかしながら、気になったのはお聞きした範囲では現状で賃金テーブルをどうするかのような話というよりは、退職金を払わないといけないので派遣単価を〇〇円上げて欲しいといったような要望が来ているだけという話でした。

労使協定方式でいくのであれば何年相当というという基準を決めないといけないかと思うのですが、どうもそんな感じでも無いようです。職務が変わる事は無いので賃金テーブルは必要無いという考えなのか分からないですが、まだその話をすると何なんですかそれという事が多いのが現状です。