退職所得の受給に関する申告

退職金が会社から支給される場合に、会社に退職所得の受給に関する申告書を提出することにより、様々なメリットを受けることができます。

例えば、提出しなければ退職金の20.42%の源泉徴収が行われることになり、確定申告を行う事で還付の手続きをしなければいけなくなりますが、この申告書を提出していれば会社が退職所得控除まで加味したうえで源泉徴収をしてくれ、確定申告をする必要が無くなります。

とはいえ年末時点でどこかに勤めていなければ、年末調整が受けれないので結局確定申告はする事になるんですが。

人材確保等促進税制

以前中小企業向けの所得拡大促進税制が改正される旨を書きましたが、大企業については賃上げ・生産性向上のための税制が終了しました。一方で雇用関係の制度として、人材確保等促進税制という制度が創設されています。

適用期間は令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度となり、青色申告書を提出する全企業が対象となります。適用要件は新規雇用者給与等支給額(国内新規雇用者のうち雇用保険の一般被保険者に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額)が前年より2%以上増えていることで、別途教育訓練費の上乗せ要件もあります。

そして要件を満たした場合の控除額は控除対象新規雇用者給与等支給額(適用年度において、国内新規雇用者に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額)の15%(上乗せ要件満たすとで20%)となり、法人税額又は所得税額の20%が上限となります。

注意点としては、要件判定の際の新規雇用者給与等支給額と異なり、控除対象新規雇用者給与等支給額では雇用保険の一般被保険者ではない人への給与も含めることと、雇調金やキャリアアップ助成金等の雇用関係の助成金については控除されるという点に違いがあります。また、中小企業では所得拡大促進税制も延長されているため適用することができますが人材確保等促進税制との併用はできません。

収益認識基準適用初年度の期首残高調整

収益認識基準が2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から強制適用されることとなり、会計上は、原則的取り扱い・経過措置にかかわらず、遡及修正により期首剰余金及び貸借対照表の関係科目の金額が変わることになります。

一方で法人税法上は遡及適用という考え方はないため、当然前事業年度末の利益積立金額が当事業年度の期首の利益積立金額と一致することになります。したがって,適用初年度の法人税申告書の別表5(1)の期首現在利益積立金額の箇所で、一定の資産科目または負債科目と繰越損益金の項目の箇所に調整を入れることとなり、期首現在利益積立金額のトータルの数字は、前事業年度末の利益積立金額と同額となることとなります。

つまり例えば出荷基準から検収基準に変更したことにより、売上が500、売上原価が300遡及修正により減額(ここでは税効果等は無視)され、会計上の利益剰余金期首残高が△200修正された場合を考えると、税務上は前期の申告書の別表5(1) 差引翌期首現在利益積立金額に戻すべく、当期申告書の別表5(1)の期首現在利益積立金額の箇所で+200の調整を行うことになります。