コンサルティング業務

コンサルティング業務をする中で、クライアントに関わっていくと会計や税務、人材の領域以外の事についてもアドバイスを求められたりする事があります。また、ポイントを絞った質問を頂く場合は別ですが、例えば会社内の既存のミーティングに出席したり、社長と一対一で話す中で意見を求められたりといった機会もあります。

そんな中で、自分の立ち位置というか求められる役割を事前に一応確認するのですが、専門家としての助言を遠慮なく言って下さいと仰られる場合が多くあります。それはそれでやりがいがあるのですが、しかしながらこれがまた難しく、私はそう言われるとあまり忖度せずに割と自分の意見を言ってしまうため、当然複数の人が関わる案件なんかでは、専門家と称した外部の人に自由に意見を言われると業務上の都合が悪かったり、業務上の都合とかならまだしもメンツとかそういった理由で面白くない方が出て来たりします。

どうしても繊細な事になると全員と摩擦なくやるというのは不可能なため、会社(もしくは契約主体の方や部署)のために自分は仕事をしているという事は常々忘れずに意見を言うようには心掛けています。

自己株式の低廉取得

事業承継の際においても自己株式の取得は1つの方法として用いられる事がありますが、今回は自己株式の取得を時価よりも低い価額で取得した場合の処理についてです。

この点、取得する法人については、自己株式の取得は資本取引であり、低額で取得したことによって基本的には受贈益の認識は必要ないとされています。但し、あくまで基本的にであって状況によっては認識が必要な場合がある点について触れられている方もおられます。そして、計算された資本金等の減少額よりも取得するための交付金銭等(払戻額)が小さい場合には、全額が資本金等の減少となりみなし配当も生じない事になります。

一方で譲渡したのが例えば個人である場合で時価よりも著しく低い価額(1/2未満)での譲渡の場合には時価で譲渡されたものとみなされます。(所得税法59条1項2号)また、他の株主が親族であるような場合には、低額譲渡により他の株主の持ち株の価値が増すと考えられるためみなし贈与となり、贈与税が課される可能性が考えられます。(相続税法基本通達9-2)

法人の中間申告

法人及び国側の納税に関してのリスクの低減等の目的から中間申告という制度があります。やり方は予定申告か仮決算をしての申告の何れかになりますが、前期の法人税の確定法人税額が20万円超の場合に必要となります。

大多数の法人は手間等から予定申告の方を選ぶかと思いますが、予定申告の場合にはざっくり前期の税額の半額を予定納税すれば、申告もしたとみなされるので申告書の提出をしなくてもペナルティはありません。

一方で仮決算をするケースとしては、前期多額の税金が発生したが、半期の業績が良く無く、また当期における業績見通しも悪い場合に、資金繰りの対策として仮決算を行い、予定納税の場合よりも納付額を少なくする場合等に行われる事になると思います。

繰越外国税額控除に係る税効果会計

外国子会社からの受取配当金でも少し出ましたが外国税額控除という制度があります。これは国外で納付された所得に対して国内でも税が課されると2重課税となってしまうため、課税の重複を排除するための制度になります。

当該税額控除を行うためには、国外源泉所得等から控除限度額を計算し、その範囲で納付された外国税額を法人税や住民税から控除する事になります。そして、控除限度額を超える部分については当該事業年度では控除されずに翌事業年度以降3年間の限度内で控除可能となります。

ここで、当該超過額に対して翌期以降の回収可能性があるのであれば、翌事業年度以降の納付すべき税額の減額する効果が有するため、税効果会計の適用により繰延税金資産を計上する事が出来ます。

但し、当該回収可能性関しては、適切なタックスプランニングにより、将来において十分な国外源泉所得が稼得されること及び我が国の税率よりも低い税率が適用される国の国外源泉所得が確実に予想されるなど、繰越外国税額控除の実現が確実に見込まれる場合に、見込まれる額まで繰延税金資産を計上する。(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針第118項)とされています。

海外子会社からの配当

海外子会社(基本的に出資比率25%以上で保有期間6カ月以上、但し租税条約により異なる場合あり)からの配当については、95%が益金不算入になります。これは、既に子会社で負担した法人税に追加して、その配当金についても日本で法人税を負担する事になると2重課税となるため、それを排除する趣旨となります。従って、配当金の支払いが損金となるような国からの配当については益金不算入とはなりません。そして、益金不算入とされた配当についての源泉税については、外国税額控除を受ける事も、損金算入することも出来ない事になります。

会計上においては、連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針によると、通常、親会社は子会社の留保利益を回収するものであるので、原則として認識することとする。(第30項)となっており、将来の配当により親会社において追加納付が発生すると見込まれる税金額、つまり益金算入額の5%部分に法定実効税率を乗じた額と配当に対して課される外国源泉所得税について繰延税金負債に計上する(第35項、36項)事となります。

但し、親会社が当該子会社の利益を配当しない方針をとっている場合又は子会社の利益を配当しないという他の株主等との間に合意がある場合等には、配当をしない方針である以上、配当に伴う課税関係が生じない可能性が高いため、繰延税金負債の計上を要しません。(第35項)

棚卸資産の評価損

会計上は棚卸資産の評価に関する会計基準により、収益性の低下により投資額の回収が見込めない場合には棚卸資産の簿価を切り下げなくてはいけません。一方で、税務上は変更承認申請を提出する事により低価法を適用する事が出来ますが、申請書を提出すれば会計上評価損としたものが税務上も必ず認められるかと言えばそう単純ではありません。

例えば会計上は滞留年数の区分によって、切り下げの割合を画一的に決めて簿価切り下げの処理をしていたとします。しかしながら当然この取り扱いによった切り下げ後の簿価は、各商品毎に時価を見積もった訳では無いため、その切り下げ後の簿価を疎明する事は困難となります。

つまりこういった場合、税務上においては例え申請をしていたとしてもその切り下げ額について後々調査等で指摘を受けて損金算入が認められない可能性が出て来るので、税務上の取り扱いについては注意が必要です。

居住用賃貸建物と消費税

税務通信3620号で居住用賃貸建物の消費税仕入税額控除についての記載がありました。この号での論点は契約締結時の課税仕入計上についての否認リスクについての記載でしたが、この居住用賃貸建物の消費税については、いわゆる自販機スキームから始まった当局と何とか還付に持って行きたい納税者側との闘いの歴史でもあるようです。

そもそも自販機スキームですが、ざっくり言うと居住用賃貸建物を貸すことによって計上される収益は非課税となることから、建物取得の1期目の賃貸収入が無しの状態で、自販機設置に伴い得られる販売手数料のみを課税売上とする事によって建物取得に要した消費税を全額税額控除するというもので、取得後3期間の平均課税売上割合が著しく変動した場合の再計算ルール(調整対象固定資産のルール)も3期目を免税事業者に戻す事で回避するというスキームでした。

ただこれは1期目から課税事業者にあえてなった場合は3年間は免税事業者に戻れないルールが設けられた事により、上記基本的な形式では出来なくなりました。その後も高額特定資産(1,000万円以上の棚卸資産や固定資産)のルールが出来たことにより、更にハードルが上がりましたが、現在も金地金の取引により課税売上を創出し、調整対象固定資産のルールをくぐり抜けたり等、未だ可能性は残っていることから、居住用賃貸建物に係る消費税の控除について税務通信の記事にもある通り、当局と納税者側との争いは度々起こっているようです。

非上場株式の譲渡

非上場株式の譲渡の話が出るといつも頭が混乱します。なぜややこしいのかと言うとやはり株式の価額が3種類出て来るからだと思います。というのは、譲渡人の取得した時の価額、譲渡時の時価、実際の譲渡価額の3種類を考慮して考える必要があるからです。

また、個人同士間の取引なのか、個人と法人間なのか、法人同士間なのかによっても影響があるため、なおさら複雑になってきます。そして、基本的に時価との乖離があったりすると、個人なら贈与税がかかってきたり法人なら受増益や寄付金を認識しないと行けなかったりします。

例えば、個人から法人に株式を譲渡しようとしたときに、譲渡価額>時価>取得価額であった場合には、譲渡人(個人)では一時所得、譲渡所得による所得税が、譲受人(法人)では譲渡価額と時価の差額が寄付金にという具合になります。

また、上記の例で個人間であれば、譲受人(個人)は課税関係は基本的に生じませんが、譲渡人(個人)では贈与税、譲渡所得による所得税が発生します。

ややこしいです。

6ヶ月定期代支給への変更

現在公共交通機関使用の通勤費を月毎に支払っている場合、これを6ヶ月の定期代前払にすればコストを下げる事が出来る可能性が高いです。では変更した場合に所得税(源泉税)、社会保険料、労働保険料の扱いはどうなるでしょうか。

所得税及び社会保険料については、1ヶ月当たりにならして考えるため、例えば6ヶ月分を支給した時に非課税交通費の15万円を超えても、1/6した額が超えなければ課税対象とはなりません。また、社会保険料の標準報酬月額においても1/6の額が通勤費として報酬に反映されるため、1ヶ月当たりの通勤費がよっぽど下がって等級が2等級以上下がるような場合以外は、従前の扱いと特段変わるような事は無いかと思います。

労働保険料については、4月~3月分の賃金総額が料率を乗じる対象になるので対応する月分の通勤費が賃金となりますが、給与からの控除に関しては職安に確認しましたが、支給時に一時に控除しても、各月ならして控除してもどちらでも問題無いようです。

労働者側から見ると前払で通勤費をまとめて貰える一方、金額としては減少するため、説明が適切になされないと反発が起きる可能性があるので注意が必要です。(そもそも交通費を補填支給しているだけなのですが…)

健康保険料の負担

健康保険料の負担は健康保険法161条により被保険者と事業主で2分の1ずつの負担となっています。健康保険組合の場合は事業主の負担割合を増加させることが規約で定める事により可能ですが、協会健保の場合は負担割合を変更は出来ません。

ここで、会社によっては健康保険料を事業主のみが負担している会社があるかと思いますが、これは許されるのでしょうか。

この点、こういった場合においては、会社が負担した健康保険料についても健康保険における賃金(税務上も)となるので、会社が負担したという事では無く、健康保険料込みの給料が給料総額となり、その中から健康保険料を支払ったという形になっているという事で、消費税の税抜なのか税込という感覚に近いような気がします。