適格現物出資(DES)

金銭債権を有している債権者がその債権を債務者の株式に振替える事をデット・エクイティ・スワップ(DES)といいますが、親会社が業績悪化の子会社に対する貸付金等について、経営支援等の目的で現物出資を行って子会社株式に振替える事があります。 。

ここで、100%子会社に対しての貸付金を株式に振替えた場合には当該子会社株式を保有し続ける前提であれば、当該行為は適格現物出資となり、会計上も税務上も譲渡損益は生じない処理となります。 しかしながら、このDESを行う段階では恐らく貸付金について貸倒引当金が引当てられる等、親会社のBS上の債権額は何らかの評価額とされている場合も多いのではないでしょうか。

この場合、会計上は結合分離適用指針により、親会社が取得する子会社株式の取得価額は貸倒引当金控除後の価額となり、税務上は税務上の債権の帳簿価額が子会社株式の取得価額となりますので、会計と税務では子会社株式の取得価額が異なる事となる可能性があり、税務調整が必要となる可能性もあります。

また、消費税の処理においては、親会社では金銭債権の譲渡として、譲渡対価(簿価では無く時価)の5%が非課税売上となりますのでこの点、注意が必要です。

法人成り②

前回の法人成り①では、個人事業主の最終年度の事業所得の計算について記載しましたが、今回は法人成り後の消費税についてです。

通常は法人成り後の法人の資本金が1,000万円未満の場合には、基準課税期間が無いことから法人1期目と2期目については消費税の免税事業者となるケースが多いかと思いますが、そうならないケースもあります。

まず、法人1期目において、事業年度開始からの6カ月間(特定期間)に売上高も給与支払額のいずれも1,000万円を超えている場合には2期目から課税事業者が強制されます。

また、こちらの方はあまりないかも知れませんが、個人事業主がそのまま100%オーナー株主として法人成りした場合等は、個人事業主時代の基準期間相当期間の課税売上高が5億円を超えていれば、法人1期目から課税事業者が強制されます。

法人成り①

法人成りをしたクライアントについて、税務上の注意点を確認したところ、そういえばという論点がありましたので記載します。

まず、個人事業主を廃業して法人成りという流れでは、当然個人事業主を廃業するまでの事業所得を確定させ、確定申告時に申告する事が必要となります。最悪確定申告時までに出来れば良いかというと法人に引継ぐ資産負債も確定させないといけないため、早い段階での処理が必要となります。

その際の事業所得の計算においては、商品等を法人に引継ぐ場合にはその商品を売上として最終年度の事業所得計算に含める事になります。その際には著しく低い価額の対価(通常の販売価額の70%未満の対価)での譲渡に注意しなければなりません。

また、個人事業税については、翌年に賦課決定があってから事業廃止年分について更正の請求を行うのが原則ですが、見込みで事業廃止年度に入れ込む事も認められています。

非上場株式の株価算定

株価の話がクライアントで出たので今回は非上場株式の株価についてです。

例えば大会社の区分となる会社が、事業承継等の関係で財産評価基本通達に従い株価を算出する際、過去は儲かっていて含み益がある不動産も多く所有しているが、今は赤字が続いているような時は、どちらかというと「株価を安く算出したい=類似業種批准方式で行いたい。」という風に考えられるかと思います。

しかしながら、赤字が続いていて配当もしていない、という事になると批准要素が1や0になってしまい、類似業種批准価額のみでの算出というのは出来なくなってしまうため、頭を悩ます事になるかと思います。

そんな時は直前期に配当を行っておけば良いという話もあるかと思いますが、「特別配当,記念配当等の名称による配当金額で,将来,毎期継続することが予想できない」配当は含まれないという事や、例えば株式の贈与の直前の1期だけ配当を出すというのはかなり不自然なため、やはりリスクがあるかと思います。

ゴルフ会員権

ゴルフ会員権をあまり見かけることが無いのですが、稀に見かけると大体取得価額を結構割っているという印象です。

そんな折、ゴルフ会員権の処理(税務)に関して質問を受けました。

会計上の処理としては、

株式形態の場合は、時価がある場合は著しい下落で回復見込みがある場合を除いて減損、時価無しの場合は実質価額の著しい悪化により評価減

預託保証金形態の場合は、時価がある場合は著しい下落、 時価無しの場合は回収可能性に疑義がある場合は、預託保証金を上回る部分は直接評価損を計上し、預託保証金部分は貸倒引当金を設定

という処理になります。

税務上の処理としては、 株式形態のゴルフ会員権は、税務上、相場の有無にかかわらず、法人税基本通達9-1-9等に基づく処理となるため、評価減の余地がありますが、預託保証金形態の場合は、退会の届出の提出や破産手続開始の決定等により、預託金返還請求権の全部又は一部が顕在化した場合にしか貸倒損失、貸倒引当金の対象とすることは出来ません。

定期保険等(改正後)

前回で改正前の長期平準保険の取り扱いを記載しましたが、2019年7月8日以降の契約分から、取り扱いが変更となります。

法人を契約者とし、役員又は使用人を被保険者とする保険期間が3年以上、最高解約返戻率が50%超の定期保険等の場合(最高解約返戻率70%以下で、かつ、年換算保険料が30万円以下のものを除く)には、最高解約返戻率に従い、3区分に分けて処理することとなります。

最高解約返戻率が50%超70%以下… 保険期間の4割相当の期間経過後まで 60%損金、40%資産計上、保険期間の7.5割経過後から取崩し

最高解約返戻率が70%超85%以下… 保険期間の4割相当の期間経過後まで 40%損金、60%資産計上、保険期間の7.5割経過後から取崩し

最高解約返戻率が85%超… 最高解約返戻率となる期間の終了日まで、(10年経過まで) 10%損金、90%資産計上(10年経過後) 30%損金、70%資産計上 、解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間経過後から取崩し(但し資産計上期間、取崩し期間について別途注意書きあり)

のようになるようです。

長期平準定期保険(改正前)

自社で契約している法人契約の保険の内容を確認する機会がありました。保険自体の処理に関してあまり触れる機会が無かったので勉強する良い機会となりました。

定期保険の中でも、「保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるもの」は、長期平準定期保険( 逓増定期保険に該当する者は除かれます )といい、通常の定期保険と処理が異なってきます。

具体的には定期保険は支払額が全額損金になるのに対し、長期平準定期保険の場合は当初は半分が損金、半分は資産計上となりますが、保険期間の6割相当期間経過後から支払額は全額損金に、また、資産計上していた分を期間経過に応じ取崩していくという処理をとります。

これは、保険期間が長期に渡れば渡る程、保険期間の一定時期までは、支払保険料のかなりの部分が現時点の便益のためではなく、将来の便益のために支払われていると考えられるからのようです。

恥ずかしながら今まであまり半分を資産計上している意味をあまり考えたことが無かったですがなるほどという感じです。

因みに令和元年7月8日以後の契約分からは、通達が改正されて処理が変更となっているようです。またの機会に触れたいと思います。

事業承継税制の特例②

前回①では申告段階までの概要を記載しましたが、納税猶予は、申告後も引き続きこの制度の適用を受けた非上場株式等を保有すること等により継続します。ただし、この制度の適用を受けた非上場株式等を譲渡するなど一定の場合(確定事由)には、納税が猶予されている贈与税、相続税の全部又は一部について利子税と併せて納付する必要が生じます。

また、引き続きこの制度の適用を受けるためには「継続届出書」に一定の書類を添付して所轄の税務署へ提出(経営贈与承継期間内は毎年、その期間の経過後は3年ごと)する必要があります。なお、「継続届出書」の提出がない場合には、猶予されている贈与税の全額と利子税を納付する必要が生じます。

その後一定の事由が生じた場合には、「免除届出書」・「免除申請書」を提出することにより、その事由が生じたときに納税が猶予されている贈与税、相続税の全部又は一部についてその納付が免除されることとなります。

以上が制度の概要です。そろそろ自分自身も事業承継を考えて行かないといけない事もありますので、まずは特例承継計画から手を付けたいと思います。

事業承継税制の特例①

平成30年度税制改正において、事業承継税制に10年間の特例措置が創設されました。一般措置に比べるとだいぶ利用しやすくなっているようです。

まず、何はともあれ会社の後継者や承継時までの経営見通し等を記載した「特例承継計画」を作成し、確認申請を行わなければなりません。特例承継計画は,主として「先代経営者が事業承継するまでの事業計画」と,「事業承継した後の後継者が取り組む事業計画」,及びそれらに関しての「認定経営⾰新等⽀援機関による指導・助⾔」で構成されます。

その後、贈与又は相続開始が行われた後、会社の要件、後継者の要件、先代経営者等の要件を満たしていることについての都道府県知事の「円滑化法の認定」を受け、各申告期限までに、当該制度を受ける旨を記載した申告書及び一定の書類を税務署へ提出、納税が猶予される贈与税額、相続税額及び利子税の額に見合う担保提供が必要となります。なお、当該承継は中小企業者である非上場会社の株式又は出資に限られ、贈与の場合,後継者が贈与の⽇まで継続して引き続き3年以上にわたり役員であることが要件となります。(相続の場合には,相続開始の直前において役員)

次回②に続きます。

事前確定届出給与

前回使用人兼務役員について書きましたが、その際に使用人兼務役員とならない役員への賞与は使用人部分という名目で支給しても損金不算入になるというものでした。

では役員への賞与を損金算入するためには、という事で事前確定届出給与制度というものがあり、通常の場合だと、①事前確定届出給与を定めた定時株主総会等から1ヶ月を経過する日、②役員が職務執行を開始する日から1ヶ月を経過する日、③事業年度開始の日から4ヶ月を経過する日の一番早い日を期限とする届け出を出せば損金算入が認められます。

ここで、届出た額より実際の支給額が大きい場合でも小さい場合でも全額が損金不算入になる(基本通達9-2-14)ので注意が必要です。また、職務執行期間に渡り、例えば同決算期中に2回支給が行われる予定の場合に、1回目と2回目のどちらかの金額が異なる場合に、両方が損金不算入になってしまう点(但し、決算期が異なる場合に、1回目は届出通り、2回目が異なる場合には2回目のみ損金不算入)にも注意が必要です。