創立費及び開業費

法人を設立するために要する登録免許税や定款認証作成料、設立手続きを専門家に依頼した場合に発生する手数料等は創立費、会社設立後実際に開業するまでに支出する名刺作成や消耗品の購入費用、広告宣伝等の費用は開業費(但し、経常的な費用は除かれます。)となり、それぞれ繰延資産(法人税法施行令第14条1号、2号)となります。

とはいえこれらの繰延資産は均等償却を要するものではなく、税法上は償却限度額はその繰延資産の額(法人税法施行令第64条1項)とされているので、繰延資産の簿価の範囲において、任意で償却費を計上出来ることとなります。

青色申告の届け出を出していれば売上がほとんどない段階で即費用化しても、その分繰越欠損となるため後で所得が出た年度に繰越欠損と相殺出来ますが、繰越欠損は期限がありますし、いつでも任意で償却可能なので当面は繰延資産として資産計上し、事業が軌道に乗った段階で償却した方が安全確実です。

退職所得の受給に関する申告

退職金が会社から支給される場合に、会社に退職所得の受給に関する申告書を提出することにより、様々なメリットを受けることができます。

例えば、提出しなければ退職金の20.42%の源泉徴収が行われることになり、確定申告を行う事で還付の手続きをしなければいけなくなりますが、この申告書を提出していれば会社が退職所得控除まで加味したうえで源泉徴収をしてくれ、確定申告をする必要が無くなります。

とはいえ年末時点でどこかに勤めていなければ、年末調整が受けれないので結局確定申告はする事になるんですが。

人材確保等促進税制

以前中小企業向けの所得拡大促進税制が改正される旨を書きましたが、大企業については賃上げ・生産性向上のための税制が終了しました。一方で雇用関係の制度として、人材確保等促進税制という制度が創設されています。

適用期間は令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度となり、青色申告書を提出する全企業が対象となります。適用要件は新規雇用者給与等支給額(国内新規雇用者のうち雇用保険の一般被保険者に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額)が前年より2%以上増えていることで、別途教育訓練費の上乗せ要件もあります。

そして要件を満たした場合の控除額は控除対象新規雇用者給与等支給額(適用年度において、国内新規雇用者に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額)の15%(上乗せ要件満たすとで20%)となり、法人税額又は所得税額の20%が上限となります。

注意点としては、要件判定の際の新規雇用者給与等支給額と異なり、控除対象新規雇用者給与等支給額では雇用保険の一般被保険者ではない人への給与も含めることと、雇調金やキャリアアップ助成金等の雇用関係の助成金については控除されるという点に違いがあります。また、中小企業では所得拡大促進税制も延長されているため適用することができますが人材確保等促進税制との併用はできません。

収益認識基準適用初年度の期首残高調整

収益認識基準が2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から強制適用されることとなり、会計上は、原則的取り扱い・経過措置にかかわらず、遡及修正により期首剰余金及び貸借対照表の関係科目の金額が変わることになります。

一方で法人税法上は遡及適用という考え方はないため、当然前事業年度末の利益積立金額が当事業年度の期首の利益積立金額と一致することになります。したがって,適用初年度の法人税申告書の別表5(1)の期首現在利益積立金額の箇所で、一定の資産科目または負債科目と繰越損益金の項目の箇所に調整を入れることとなり、期首現在利益積立金額のトータルの数字は、前事業年度末の利益積立金額と同額となることとなります。

つまり例えば出荷基準から検収基準に変更したことにより、売上が500、売上原価が300遡及修正により減額(ここでは税効果等は無視)され、会計上の利益剰余金期首残高が△200修正された場合を考えると、税務上は前期の申告書の別表5(1) 差引翌期首現在利益積立金額に戻すべく、当期申告書の別表5(1)の期首現在利益積立金額の箇所で+200の調整を行うことになります。

個人事業税(請負)

個人事業税は、地方税法第72条の2で定められた事業を営んでいる個人が納める税金で原則として納付期限は8月と11月期限の年2回となります。第一種事業から第三種事業に分類され、税率は柔道整復師等の3%、畜産業の4%、最も多い業種に適用される5%となります。

ここで、例えば建設業や内装工事関係等で請負の契約形態をとっていても、実質的には雇用に近いような形で仕事をされている方もおられるかと思います。個人事業税は所得税の確定申告や決算書の内容をベースに賦課課税方式がとられますが、確定申告や決算書の内容だけでは請負業に該当するかどうかの判断ができず、その確認のための照会文書が府税事務所から送られてくることがあります。

確認される内容としては概ね独立性や危険負担等の観点からとなり、どの都道府県もそこまで変わらないとは思いますが、例えば大阪であれば、時給や日当制で単価が決められているか、発注元から拘束時間が決められているか、下請けを自分の判断で使っても良いか、他の発注元の仕事を受けても良いか等の項目になります。

これらの回答を受けて府税事務所のほうで総合的に考えて該当するかが判断されるようですが、問い合わせて聞いてみたところ、結果的に請負業に該当しない(個人事業税が課税されない)となった場合でも、そのことをもって発注元に何か影響を及ぼすような事を府税事務所はしませんとのことでした。

特定譲渡制限付株式の税務

以前に触れた譲渡制限付株式で、当該譲渡制限付株式が当該役務の提供の対価として当該個人に生ずる債権の給付と引換えに当該個人に交付されるものであるもの等の場合は特定譲渡制限付株式(法人税法第54条1項)となります。

特定譲渡制限付株式を交付した場合の損金算入時期は、役員や従業員に給与所得等としての課税が確定した時期となり、その課税確定時期は譲渡制限が解除された日です。( 所得税基本通達 23~35 共-5 の 3 )

そして、損金に算入するためには事前確定届出給与となるので、原則として納税地の所轄税務署長に「その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容に関する届出」をしていることが必要とされています。

ここで、職務の執行の開始の日(原則、定時株主総会の日)から 1 月を経過する日までに株主総会等(株主総会の委任を受けた取締役会を含むものと解されます。)の決議により取締役個人別の確定額報酬又は確定数の株式についての定め(その決議の日からさらに 1 月を経過する日までに、その職務につきその役員に生ずる債権の額に相当する特定譲渡制限付株式又は確定数の株式を交付する旨の定めに限ります。)がされ、その定めに従って交付されるという要件を満たす場合については、上記届出は不要とされています。(法人税法第34条1項2号、法人税法施行令第69条3項1号)

中間申告

法人税法第71条で一定の法人以外は中間申告をしなければならない旨が定められています。中間申告の際には①(前期が12ヶ月間あるとして)前期の6/12の予定申告か、②半期で仮決算を行ったうえでの申告に基本的にはなります。

①の予定申告については以前にも書いた「経過措置」により6/12にならない事もありますが、そうでなければ前期の年税額の半分となります。また、②については、例えば前期は儲かったものの、当期の業績が芳しくなく、前期の年税額の半分を納める資金的な余裕もあまりないような場合に、中間納付額を出来るだけ少なくするというような目的で仮決算を組んで半期ベースで申告を行うものになります。

ここで、法人税法第73条で中間申告を行わなかった場合には、上記の①で中間申告書の提出があったものとみなすとされています。つまり、中間申告を忘れていたような場合でも、出したものとみなされるので無申告にはならないよという事になります。但し、納付をしなければ延滞税は当然発生しますのでその点は注意が必要です。

特別償却(中小企業投資促進税制)

青色申告書を提出する中小企業者等(資本金3,000万円超も含む)が特定機械装置等を取得し、製造業や建設業等の一定の事業の用に供した時は普通償却に加えて特別償却を受ける事が出来ます。

ここで特定機械装置等とは1台当たり160万円以上の機械及び装置や1式70万円以上のソフトウェア等がそれにあたり、特別償却として基準取得価額×30%が損金算入出来ます。(資本金3,000万円以下の中小企業者等は税額控除との選択可)

一方で会計上の処理としては、特別償却を利益に影響させるかどうかという点があります。つまり、特別償却に関しては税制上の措置であり、適切な期間損益の観点からは利益に影響させるべきでは無いと言えます。

そこで、剰余金処分方式により、「繰越利益剰余金××/特別償却準備金(純資産)××」という処理を行い、その後時の経過により、取崩しを行っていくという方法が損益計算の観点からは望ましいと考えられます。

とはいえ処理が煩雑となるため、多くの中小企業は特別償却を利益に影響させる方法をとっているのではと思います。ここで、特別償却を会計上の損益に影響させる場合には原価計算基準により非原価項目として扱われますのでその点注意が必要です。

非課税の出張手当

出張手当として出張をした従業員へ交通費等のほかに日当として支給をしている会社も多いと思いますが、これは出張に行く事で通常は要しない支出が発生する事に対しての補填という意味合いのものとなり、その範囲を逸脱すれば給与所得とみなされるリスクがあります。

ここで、所得税基本通達9-3において、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては

  • その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
  • その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

という基準が示されてはいますが、明確な基準とはいえません。当該支給額については所得税がかからないことから、節税対策の基本ともなっていますがあまりにも高額な日当だと、上記の通り給与所得とみなされる可能性もあるので注意が必要です。

また、同一労働同一賃金の観点からは、例えば職務内容が同じにも関わらず、雇用形態によってその支給額に違いがあるような場合には、その差額には当然合理的な理由が必要となります。

会計上の貸倒引当金

税務上の個別評価の貸倒引当金は「個別評価の貸倒引当金」で記載した通りですが、会計上の貸倒引当金は税務上の貸倒引当金とはその金額や判断等において異なってきます。会計上は貸倒懸念債権や破産更生債権等に該当する場合には個別に貸倒引当金の設定が必要となりますが、その判断は法的に手続きが進んでいる場合はもとより基本的に実質ベースとなります。

例えば破産手続開始日が事業年度末を超えた場合には、その事業年度の決算手続き中であっても、その事業年度での個別評価の貸倒引当金の税務上の形式基準は満たしません。一方で、会計上は事業年度末を超えていたとしても手続きを行う事が判明した時点で、通常はその実質的な状況は事業年度内に既に生じていたと考えられるため、その事業年度内で破産更生債権等として貸倒引当金を計上するのが原則としての処理になる事が多いかと思います。

とはいえ上場企業やその関連会社等でも無ければ会計上と税務上でタイミングや金額を合わせるケースが多いかも知れませんが、決算や来期予算の都合上で当期に損失を早く取込みたい等の事情であれば税務上の調整は必要になりますが、会計上の貸倒引当金の設定を検討しても良いかも知れません。また、その際は中小企業の会計に関する指針に基づき、臨時かつ巨額であれば特別損失に計上する事も忘れず検討するべきかと思います。