特別定額給付金等

既に周知になっていますが、特別定額給付金の受付が各地方自治体で順次開始されていくようです。大阪市では、5月中旬からオンラインでの申請受付開始、22日から申請書の送付を予定しているようで、6月以降に給付が開始される予定のようです。早いところでは既に申請受付が始まっているようで、オンラインでの申請は15分程で完了するようですね。

また、本日から持続化給付金のオンライン申請受付も開始しています。前年同月比で売上が50%以上下落していれば申請可能(前年同月が無い場合は新規開業特例等もあり)で、オンライン申請の場合は、口座情報や確定申告書類、本人確認情報は写真画像での提出で大丈夫なようで、便利な世の中です。

給付額は前年の総売上-前年同月比▲50%月の売上×12で算出された金額で、法人は200万円、個人は100万円が上限金額になります。

また、同様に大阪府では施設の使用制限による休業の協力支援要請を受けた中小企業・個人事業主で、4月の売上が前年同月比で50%以上下落している場合には休業要請支援金の申請を大阪府に対して出来るようになっています。

厚生年金基金

厚生年金基金は、老齢厚生年金の給付を基金が代行しつつ、さらに基金独自の給付を上乗せし、加入員の受け取れる年金額を増やすことで、充実した生活保障を達成することを目的として運営されていました。しかし、2020年3月1日現在で存続厚生年金基金は8つとなり、ほとんどの厚生年金基金は解散しています。

平成26年4月に施行された改正厚生年金保険法において、施行日以後の新設が認められなくなり、施行日から5年後以後以降は、代行資産保全の観点から基準を下回る基金については、厚生労働大臣が解散命令を発動できるようにもなりました。

元々、運用により積立金を確保しつつ上乗せ給付を支給するという前提が、経済情勢等から出来ない基金が多くなり、いわゆる厚生年金部分の代行割れが問題となっての事のようです。

解散後の厚生年金基金については、厚生年金基金の給付代行をしない企業年金基金への積立金の移行についての特例が認められており、代行返上して移行している基金も多いようです。

確定給付企業年金制度を採用しており、複数事業主により設立された基金に加入している場合で、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができないときには拠出時に費用計上、そうでない場合は退職給付会計基準に基づき、確定給付制度の会計処理を行います。税務上はいずれの場合も拠出時に損金算入となります。

固定資産の減損

日本の多くの企業では関係してこないので、?な言葉かも知れませんが、固定資産の減損に係る会計基準という基準があり、かなりざっくりいうと儲けを生まない、時価を鑑みても簿価より大分低い等の事業用の固定資産や土地は帳簿上の価値が無いので損失処理しましょうという基準です。

プロセスとしては、まずその資産に減損の兆候があるかを検討し、兆候がある場合は減損の認識、測定といった具合に進み、帳簿価額と回収可能価額との差額を減損損失として損失計上するという形になります。

ここで、まず兆候があるか無いかという分岐点なのですが、兆候の1つとして概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位である資産又は資産グループの営業損益や営業キャッシュ・フローが継続してマイナスとなっているかマイナスとなる見込みである場合があります。この点、営業損益か営業キャッシュ・フローかで結構影響が変わってきます。

営業損益といえば、当然検討対象となっている資産の減価償却が加味されていますが、営業キャッシュ・フローといえば減価償却費はキャッシュアウトではないため、加味されない事になります。

結果として、営業利益がマイナスでないという事は減価償却費について回収出来ているという事なので、そのままプラスが続けば対象資産の償却期間で投資回収は出来るという事に、一方、営業キャッシュ・フローがマイナスでないという事はプラスが続いてもそのプラス金額次第で償却期間では投資回収出来ない可能性があるので、当然ハードルに差がある事になります。

適用指針では、80項で「管理会計上、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」だけを把握している企業の場合には、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」によって減損の兆候を把握することも可能であることを示しているものと解される。」と記載がありますが、私の経験不足かも知れませんが、そんな会社は圧倒的に少ないように感じます。

ただ一方で、「営業損益や営業キャッシュ・フローが」と記載があるために、兆候の把握に営業キャッシュ・フローを用いる会社もそこそこあるような気がします。(あくまで個人の感覚です。)

監査上の留意事項(コロナ関連)

日本公認会計士協会から「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項」が現時点でその3まで出されています。4月15日に発出されたその2では、会計上の見積りに関して記載されています。今回はこれについて触れたいと思います。

企業会計において会計上の見積りは避けて通れないものであり、例えば減損会計や税効果会計等は多分に見積の要素が強いものとなります。この会計上の見積りは、ある一定の仮定に基づいて行う事が必要となるのですが、その仮定の設定が平常時では無いこの御時世においては多分に困難が伴う事になります。ざっくりしたところで、将来の業績予想の合理性が一番分かりやすいかも知れません。将来の企業業績が良いと、当然悪いよりも固定資産の回収可能性も増えて減損損失の金額が少なくてすみますし、課税所得も増えるので、繰延税金資産も多く計上出来ますが、将来の業績の結果はその時にならないと分からないため、あくまで今時点では仮定に過ぎません。

しかしながら、この御時世ではコロナがいつ収束するかも分からないため、将来の見通しが非常に立ちづらい状況にあります。そこで、この通達では、設定された仮定が「明らかに不合理である場合」に該当しないことを確かめることになるとしており、「企業の事業活動にマイナスの影響を及ぼす情報及びプラスの影響を及ぼす情報の双方を含む入手可能な偏りのない情報を総合的に評価して、悲観的でもなく、楽観的でもない仮定に基づく企業固有の事情を反映した説明可能な仮定になっていることを検討した上で、会計上の見積りが実施されているかを検討することに留意する必要がある。」という事です。仮定を出来るだけ裏付ける情報を集めて想起される複数シミュレーションをしたりと頑張っても外部環境次第で仮定通りに行かず結果はがらっと変わる可能性は多分にあるため、かなりざっくりいうと頑張って検討するのは当然今まで通りだけど、結果がどう出てもこの御時世仕方ないよねという事なんでしょうかね。

上場株式の減損

コロナの影響で上場株式の時価は下落していますが、ここで上場株式についての減損処理が必要になる会社も出てきているのでは無いでしょうか。金融商品会計基準によると、時価のある有価証券について、時価が著しく下落した場合は減損処理が必要であり、時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当し、合理的な反証が無い限りにおいて、時価が取得原価まで回復する見込みがあるとは認められないため、減損処理を行わなければならないとされています。

一方、税務上で損金算入するには上記おおむね50%の下落に加えて、近い将来その価額の回復が⾒込まれないことが必要となります。(基本通達9-1-7)この点、回復可能性の見込みについて、税務通信の3598号にも出ていましたが、平成21年4月に国税庁から出されたQ&Aにより、監査人のチェック及び、継続適用により回復可能性の判断基準は税務と会計一致でOKとなっています。

つまり、株価が概ね50%を下回る際には、上場企業等であれば金融商品会計の減損処理に従う必要があり、合理的反証が無い限りには回復見込みが無いとされますが、その適用については当然監査人のチェックを受けます。監査人がチェックし、会計上認められた減損処理は近い将来回復見込みが無いものとなり、税務上の要件も満たすという事でしょう。

コロナに伴う融資

今更ながらですが、コロナ関係でセーフティネット保証が発動されたり、コロナ特別貸付が行われたりと、コロナの影響でキャッシュポジションが悪くなった企業向けに融資が緩和されています。

例えば日本政策金融公庫のコロナ特別貸付は、中小企業者であれば3億円が別枠で設けられています。しかも、1億円までは3年間現時点で金利が約0.2%でで無担保とかなり優遇された貸付になっています。業歴が短くなければコロナの影響で最近1ヶ月の売上が前年または前々年同期と比較して5%以上下がっていれば対象となります。

コロナの影響で資金が必要な方に対して、前向きに融資に応じておられるようで、融資の必要性を疎明する資料等は勿論必要なものの、この御時世有難い制度となっています。

但し、要件として「中長期的に業況が回復し発展が見込まれる」という事も必要なので、コロナに関係なくそもそも業績が悪いような場合には融資ハードルは当然上がるようです。

手当等の所得区分

新型コロナウイルスの影響で実態経済への影響も色濃くなってきていますが、このような状況なので、給与以外に労働者が受け取る所得補償といったものも出てきているかと思います。今回は労働者が受け取る手当等の所得補償についての所得区分、課税対象か否か等についても触れたいと思います。

まず、労基法の休業手当についてですが、労基法の休業手当は通常の給与と同じ扱いとなりますので、課税給与所得になり、雇用保険や健康保険等においても報酬となります。

そして、先日タクシー会社が再雇用の約束をしたうえで解雇し、雇用保険の求職者給付の基本手当を受けて貰うというニュースがありましたが、当該基本手当の受給可否は置いておきますが、この基本手当は非課税所得となります。但し、健康保険の被扶養者の判定における収入には含まれる事になるので注意が必要です。

また、解雇するうえでは30日前の解雇予告かそれをしない場合に解雇予告手当の支払いが必要となりますが、解雇予告手当は退職手当となります。(因みに解雇予告手当不払いによる付加金は一時所得)

その他、会社が倒産してしまった場合に未払賃金の立替払い事業により国から弁済を受けた未払賃金も退職所得となります。

今回の緊急経済対策により、国から現金給付を受けた場合は非課税になるのでしょうか。もし仮に一時所得となったとしても特別控除で50万円までは控除となるのでほとんどの受給者は関係ないと思いますが。

個別評価の貸倒引当金

税務上、平成23年度の税制改正に伴い、貸倒引当金の対象法人が縮小されていますが、資本金が1億円以下の普通法人等は現在も貸倒引当金が税務上認められています。ここで税務上の貸倒引当金は個別評価と一括評価という大きく分けると2つの分類で引当金を計算しますが、今回は個別評価の方に触れたいと思います。

というのも貸倒に係る事案が身近でも発生したからです。現時点ではまだ破産手続き開始の申し立てもしていない状況ですが、今後弁護士に連絡をしてくださいとの連絡が来て確認すると、どうやら破産手続きに向けて動いているようでした。

ここで、個別評価の貸倒引当金については、長期棚上げ基準・実質基準・形式基準がありますが、すでに財務状況等についてはある程度調べはついており、当該事案は貸倒引当金だけを考えればこの後の法的手続きの進行により、形式基準しか考えられない状態です。

つまり、今後事業年度末までに破産手続き申し立てが行われた場合は形式基準(法人税法施行令96条1項)を満たし50%個別引当が可能、もしくは以前にも触れた貸倒損失の事実上の貸倒れを用いての貸倒損失の計上の何れかになると考えられます。

どちらにするかについては要相談ですが、簡易さで言えば形式的な基準に基づくので形式基準での貸倒引当金の方が言うまでも無く簡単で分かりやすいです。また、同時廃止になればすぐに全額法律上の貸倒損失で行けるのですが、管財事件になると考えられるのでそれは難しそうです。

テレワーク助成金

昨今の状況によりテレワークを実施している会社も多いと思いますが、弊社でも新型コロナウイルスの影響でテレワークを一部導入しております。そんな中、新たにテレワークを実施する中小企業事業主で要件を満たす会社は、助成金を貰える可能性があるようです。

助成金の正式名称は働き方改革推進支援助成金というらしく、従来より時間外労働の改善を目的にテレワークを導入する会社向けにあった助成金のようですが、3月から従来のものとは別に要件が緩和され、新型コロナウイルス感染症対策としてのコースが期限付きで設けられたようです。新規にテレワークを導入した会社について、そのために要した費用の半分(上限100万円)が助成金として支給されるとのことです。

対象となる費用にも当然縛りがあり、テレワーク用通信機器の購入費用が対象になるとはいえ、汎用性のあるパソコン、タブレット、スマホ等は対象にならなかったりするので、対象となる費用を良く確認しないといけませんが、早く申請したいと思います。

税務調査

税務調査と聞くと正直喜ぶ方はあまりいないかと思いますが、例えば私的な経費を法人の経費として使っていたりするオーナー企業の経営者からすれば、特にひやひやものでは無いでしょうか。ただ、一方で逆に税務調査での指摘により、会社が良い意味で変わるなんて言う事も実際あるのだと思います。

これは世間話で聞いた程度の会社の話ですが、その話に出た会社もオーナー社長の私的な経費が税務調査で問題となったそうです。そうなると、税務署側からすれば、それを役員賞与にして、法人税と社長の所得税の両方をいきたいと考えるのでしょうが、その会社でははっきりとした経緯は良く分からないですが、最終的にお咎め無しとなったとの事です。(因みに恐らくそれは税務署OB税理士先生の力だろうと話しておられました。)

点で見ればその時にお咎め無しで会社としても社長としても良かった一安心、となったのかも知れませんが、その後その時にお咎めなしとなったからか分かりませんが、会社の業績は下がっていく中で私的な経費使用は止まず、会社の業績悪化に拍車を掛けているようです。そんな話を聞いて、そのケースでいえば冒頭の逆パターンになったのでは、と考えてしまいます。