iDeCo

iDeCoは個人型の確定拠出年金のことで、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。自分で設定した額の拠出を行い、拠出額の運用方針も自分で決め、その運用結果を60歳以降に一時金もしくは年金という形で受け取る事になります。

運用結果によっては元本割れのリスクもありますが、元本確保型の運用も可能です。ハイリスクな運用程、ハイリターンを得られる可能性がありますが、当然その分損をする可能性もあるという事になります。

ここで、大きなメリットの1つとしては拠出額が全額所得控除の対象になることです。例えば個人事業主の方が加入し、月額6.8万円で12カ月加入(年額81.6万円の拠出)したとして、所得税の区分が10%区分であれば住民税10%と合わせて6.8万円×12カ月×約20%=約16万円/年の税金が軽減されることになります。一方で仮に拠出期間=受取期間が同期間で拠出額と同額を年金として受け取ったと仮定すると、他の所得が国民年金の受給のみであればMAXで約78万円/年の受給になるため、78万円+81.6万円=約160万円の年金受取額となります。現行の制度ではここに110万円の公的年金等控除額、48万円の基礎控除が入るので所得としてはほぼ無くなり、結果的に拠出時の税金軽減が軽減され、老後資金が増えたことになります。また、制度は違いますが、このメリットは小規模企業共済でも同様のものとなります。

実際は運用の巧拙等により拠出額が増減した結果が年金の受給額になりますし、拠出期間と受給期間が一致することは普通は無いので、上記のような仮定通りになることはまずないですが、引退後の所得を考えると所得税の累進課税という性質上、稼いでいるときに拠出し、所得控除を受けて、引退後にその分受け取るという事は老後の事を考えても合理的かと思います。

非常勤役員の社会保険

例えば代表取締役に関して、通達によると「法人の代表者又は業務執行者であつても、法人から、労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者の資格を取得させるよう致されたい。」(昭和24年 保発第74号)という事で、低額の役員報酬であっても報酬が払われていれば健康保険や厚生年金の被保険者となります。

一方で、非常勤の取締役になった場合等はどうでしょうか。この点、非常勤の明確な定義は無いですが下記の点を総合的に考慮し、その業務が実態において法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供であり、かつ、その報酬が当該業務の対価として当該法人より経常的に支払いを受けるものであるかを基準として判断することになります。(疑義照会2010-77,111)

① 当該法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか。
② 当該法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか。
③ 当該法人の役員会等に出席しているかどうか。
④ 当該法人の役員への連絡調整又は職員に対する指揮監督に従事しているかどうか。
⑤ 当該法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっていないかどうか。
⑥ 当該法人等より支払いを受ける報酬が社会通念上労務の内容に相応したものであって実費弁償程度の水準にとどまっていないかどうか。

なお、労働保険に関しては原則として役員への適用はありませんが、役員であっても労働者性があるのであれば労災保険、雇用保険ともに適用される可能性があります。

児童手当

児童手当は、日本国内に住民登録のある中学校終了までの児童を養育する場合に、その養育者に児童手当法に基づき支給されるものです。児童手当は1月あたり、3歳未満であれば1人15,000円、3歳以上は1人10,000円(但し3歳から小学生までの第3子以降は1人15,000円)が支給され、10月、2月、6月にそれぞれ4か月分ずつが支給されます。一方で所得制限もあり、前年が所得制限限度額以上であれば1月当たり、一律1人5,000円の支給となります。

ここで、この所得制限限度額については、世帯単位ではなく、通常は世帯の中で一番所得が多い人の所得が対象となり、限度額は622万円に扶養親族の人数×38万円(老人扶養親族の場合は44万円)を加えた金額となります。

所得額については児童手当法施行令第3条に定めがありますが、所得税や住民税の計算における所得計算とは異なるので注意が必要です。特に、所得控除については医療費控除やひとり親控除等は所得税の計算におけるものと同様ですが、社会保険料控除や生命保険料控除、基礎控除等がありません。(逆に施行令に定める控除8万円があります。)

つまり、所得税の計算における所得を基準に所得制限限度額を下回っていると考えていたとしても、児童手当においては実は限度額を超えてしまっていて受給額が少なくなるということが起こり得ますので注意が必要です。

定型印を買う

雇用保険関係等の申請書の提出にあたり、社会保険労務士が申請書を作成する等、係わった場合には、定型印を押印する事になります。

開業社労士の場合は提出代行者印や事務代理者印を押す事になりますが、勤務社労士の場合にも定型印があり、それは事務担当者印ものになります。この事務担当者印の位置づけですが、購入した際に一緒に送られてきた「業務の簡略化に関する事務取扱基準」を読むと、どうやら開業社労士の場合には社労士法施行規則第16条において、責任の所在の明確化のために社労士の名称等についての表示義務の記載があるが、勤務社労士の場合には事業主の補助的立場に過ぎないためにそういった義務は無く、あくまで業務の円滑な処理に資するので名称等の表示について行う事は差支えないという事で、任意のようです。

因みに申請にあたって労働者名簿や賃金台帳等の添付書類を省略できる社労士法第17条の付記についても勤務社労士であっても出来るようです。

派遣料と外形標準課税

事業年度終了日に資本金が1億円を超えるような大きい規模の株式会社は法人の所得を基準とする事業税のみでは無く、資本金等や付加価値などを課税ベースとする外形標準課税が事業税の一部として課されます。

そして、この外形標準を構成する付加価値の中には報酬給与額が含まれ、この報酬給与額には自社の直接雇用の社員へ支払う給与のみでは無く、派遣元会社に支払う派遣料の75%も含まれます。

この75%というのは派遣料にはマージン等が乗っており、派遣料の全てが派遣スタッフへの給料では無いからなのですが、実際には派遣料の75%が派遣スタッフの給料になっていることはあまり無いのではと感じます。(実際には60%~70%の間位じゃないでしょうか。)それは派遣会社は派遣料の中から、派遣スタッフへの給与のみでは無く、社会保険料、間接費等の経費も捻出しているからです。当然マージン分も入ってますので、25%の中から給与以外をというと正直かなりきついかなと、そう思う訳です。

2020年振り返り

年内最後に2020年の主な事項の振り返り

  1. ほぼ全てのミーティングや社内懇親会がオンライン化され、拠点間の行き来が減った。
  2. 会計や税務の関与先が増加、システム関係のコンサル業務も開始
  3. 年始から組織図を改変し、間接系部門として管理本部を独立した部として設置した。結果、各セクションの指示系統が不明瞭だったことが明瞭化し、伝達等がスムーズに
  4. JB(ジュニアボード)での協議により、全社集会のオンライン化や会社の新HPのコンテンツ内容の決定等、全社的な取組がいくつも決まった。
  5. 会社の1つの部門が不採算のために廃止となった。
  6. 雇用調整助成金や学校休校助成金等、いくつかの助成金の申請業務を行った。
  7. 社会保険労務士試験に合格した。(2021年登録完了予定)
  8. 基本的には週2アップの当ブログを続けることが出来た。
  9. コロナの影響で太った。
  10. コロナの影響で担当している派遣スタッフの引継ぎが行えず、管理本部に所属しながら、担当の派遣スタッフを持ち、会計や税務のコンサルも直接行うという体制が続いた。
  11. 初めて社内向けの研修講師を行った。来年も行う予定

他にもいろいろあったかと思いますが、ぱっと思いついたのは上記でした。

自己都合か会社都合か

事業所を閉鎖したことにより退職が発生する事になった場合にその退職が自己都合となるのか会社都合となるのかという点は会社サイドにとっても退職者サイドにとっても関心事になるかと思います。

会社側からすると雇用関係の助成金等に影響を受ける可能性があるためで、退職者側からすると雇用保険の基本手当(失業手当)に影響を受ける可能性があるためです。

この点、例えば事業所が閉鎖したとしても近くに別の事業所があり、その事業所での仕事が用意されているにも関わらずそれを断っての退職のような場合には自己都合退職と判断されると考えられます。(当然雇用契約時に職種限定がされているような場合や給与水準等の待遇が大幅に悪くなるような職種転換等の事情があれば別です。)

とはいえ制度上に照らしての判断とは別で対人というところの難しさもあります。例えば退職者側が一方的に会社都合であると信じて疑わないような場合には話はややこしくなる可能性がありますので、閉鎖が決まった段階でじっくりと対策を練りながら話し合いを進めて行く事が必要となるでしょう。

健康保険の被扶養

被保険者と同一世帯に属している場合は原則として、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。

また、被保険者と同一世帯に属していない場合にも、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合には、被扶養者となります。

この130万円未満(一定の場合180万円未満)は、収入ベースの金額になるので、個人事業主の方が被扶養者になる時は収入では無く、収入から経費を控除した金額という事になります。しかしながら、所得税の前提となる事業所得の経費の範囲と同じかというとそうでは無く、協会けんぽのHPや色々な健康保険組合の基準を見ていると基本的には直接的必要経費の範囲となり、例えば協会けんぽだと売上原価は控除出来るが、減価償却費は控除出来ないようなのでより狭い範囲のものとなります。

給与システム移行

現行の給与システムや業務フローの見直しを行っています。そもそも現状のまま続ける事自体が効率性は勿論の事、将来的に考えても他にも問題があるために移行するのですが、現場単位で所定労働時間等のマスタが異なってくるため、ひとまずは母体数が上位のマスタから移行を進めようとしています。

とはいえそこそこの人数のマスタを新システムへ移行したりだとか、業務フローの間に社内開発システムをかませてなるべく人の手を介在させない形に持っていくのは弊事務所にも参画してくれているSEの藤井の力が無ければできない事です。(因みに今のフローは人手の介在箇所がすごく多い)

想定通りに移行出来れば、諸々の効果が得られるはずです。

雇用保険の非該当承認申請

現状雇用調整助成金は、基本的に雇用保険の事業所番号を持っている事業所単位で要件を満たせば申請出来る事になります。そのため、例えば法人全体を1つの雇用保険の適用事業所としている場合では、法人全体で要件を満たしていなければなりません。例えば複数店舗を有しており、店舗ごとを見れば要件を満たす店舗があっても、この場合申請出来ないことになります。

ここで、雇用保険の非該当承認申請という申請制度があります。これは、対象事業所が人事、経理、経営又は業務上の指揮監督、賃金の計算、支払等に独立性がないこと等の要件を満たす場合に申請が可能となり、当該申請が承認された場合には、正式に当該事業所についての雇用保険関係事務は組織上上位に位置する事業所で取り扱うことになります。(因みに労災保険料率が同じ複数事業所について認められる継続事業の一括とは異なる制度です。)

そして、この非該当承認申請を受けた事業所については、雇用保険の事業所番号を持っていないにもかかわらず、要件を満たせば雇用調整助成金の申請が当該事業所単位で可能となります。もしかしたら当該申請により、雇用調整助成金を受給できる可能性が出る会社もあるのでは無いでしょうか。