譲渡制限付株式(実務対応報告第41号)

2020年1月31日付の譲渡制限付株式(https://kawai-tax.info/wp/wp-admin/post.php?post=140&action=edit)で書きました処理方法ですが、2021年3月1日以降に生じた取引について、実務対応報告第41号「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」にて取り扱いが明確化されました。

これまでの処理としては、上記リンクで記載の通り、「譲渡制限付株式を例えば役員に譲渡制限付株式を新株付与した場合(未達時は会社が無償取得)には、会計上は「前払費用××/資本××」という処理を行い、基本的に譲渡制限期間を通して前払費用を費用化していくという処理になります。 」という処理をしていたかと思いますが、実務対応報告ではそもそも発行時の処理から異なります。

実務対応報告では、期間を通して費用化する点では変わりませんが、付与時の処理としては新株発行での付与の場合では行わず、自己株式の付与の場合は「その他資本剰余金××/自己株式」という処理を行う事になります。

また、費用化する際については、新株付与の場合は「費用××/資本××」自己株式付与の場合は「費用××/その他資本剰余金××」となり、よって未達没収時においては新株付与の場合は無償の自己株式の増加、自己株式付与の場合は付与時の簿価ベースで「自己株式××/その他資本剰余金」という対応分を戻す処理を行うようです。

地方税 事業所

本社と異なる市町村に支店や営業所、事務所、店舗を設けた場合には、新たに設置届を都道府県税事務所や市役所等に提出しなければいけません。

上記の届出の提出が必要となる場合としては、①人的設備,②物的設備,③事業の継続性の三要件を満たす場合となります。①については正規従業員以外でもアルバイトやパートの方等が事業所にいれば該当し、②については自己所有か否かは関係無く、賃貸していても事業を行うのに必要な設備があれば該当します。③については2,3ヵ月程度の一時的な事業の用に供される現場事務所等は該当しません。

上記から、例えば多店舗展開での直営店舗の一部がFC店舗へ変更となった場合には、FC店舗の運営法人側での事業所となり、フランチャイザー側では基本的には事業所に該当しなくなると考えられます。

教育訓練 受講レポート

雇用調整助成金の審査ハードルが上がっているようです。以前はそれほど指摘が無かった箇所についても修正や追加で書類が必要になったりと、直接労働局の方に聞いたところでも厳しくなっているようです。

休業だけでなく、教育訓練を実施した場合にも雇用調整助成金が受けられることは前にも少し触れましたが、その場合には研修等の教育訓練を行ったという実績を示す受講レポートを受講した従業員本人に記載して貰い、提出する必要があります。

今回受講レポートの内容について指摘がありました。話を聞いている限りでは先方の方が言われるのはもっともだと思える内容で、受講レポートとしてはその研修等により何を新たに学べたのかや、それがどう会社の生産性向上に寄与するのか等についても触れている必要があるというものです。

言ってみれば従業員に研修をして支払った給料をお国が補填しますよという事なので会社も受講した従業員もそれ相応のエビデンスを出すのは当然という事でしょう。

監査上の留意事項(その7)

2021年3月2日に新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その7)が日本公認会計士協会から発出されています。

「本留意事項は、留意事項(その2)において示した会計上の見積りに関する監査上の留意事項について、現在も依然として留意すべきことを改めて周知するためのものである。」とされている通り、企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行った結果としての乖離は「誤謬」に当たらない。という事や、過度に楽観的でも悲観的でも駄目だという点に関しては昨年に発出された留意事項と変わらないと感じます。

加えてとして、新型コロナウイルス感染症の拡大が企業の業績や財政状態に与える影響が業種や企業によって様々であること等から、経営者及び監査役等と通例よりも注意を払って適時かつ適切なコミュニケーションを図るよう求めるとされています。

被用者保険の適用拡大

令和2年5月29日、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、6月5日に公布されましたが、これにより社会保険や厚生年金の適用対象となる範囲が拡大されます。

ざっくり言えば、①週労働時間が20時間以上②月額賃金8.8万円以上を満たす従業員について、これまで従業員500人超の規模の会社では被用者保険の加入義務有だったのが、令和4年10月から従業員100人超(令和6年10月から50人超)の規模の会社で加入義務有となります。

また、従来は上記①②に加えて1年以上の雇用見込みという要件もありましたが、当該要件は撤廃され、フルタイムの被保険者と同様、2か月超の雇用見込みの場合に適用対象となります。

そして、従来であればまずは2ヶ月以内の雇用契約を結んで社保の加入については一旦様子見としていたような会社も多いかと思いますが、この2か月超の雇用見込みについても、契約書に更新される場合がある旨の明示がある場合やこれまで実績として更新された実績がある場合は原則として当初から適用となるようです。

適用範囲が拡大される場合の影響としては、所得税との絡みである程度限られるような気がしますので、特に派遣会社等はどちらかと言えば2か月超の雇用見込みの影響の方が大きいんじゃないかと思っています。

続・市街地価格指数

3月12日に書きました「市街地価格指数」(https://kawai-tax.info/wp/wp-admin/post.php?post=542&action=edit)において、取得した時期が遠い過去等の理由で取得価額が分かる資料が無い場合の不動産の取得費を市街地価格指数を用いて計算する手法ですが、その後自分で調べたりベテランの税理士先生に話を聞いたりしてある程度使い方等が分かりましたので不十分かも知れませんが備忘します。

  • 当然の事ながらあくまでまずは当該関連資料(当時の仲介料、借入金関係資料、納税者の手控え等)から実額の把握に努めるのが先
  • 購入当時の固定資産税評価額等他の情報と併せた使い方が基本的に必要であり、市街地価格指数を使って算出した数値をそのまま使うのは無理がある
  • 一般的に昭和時代の固定資産税評価額は実際の時価との乖離額が大きいので注意(時価より相当低い)
  • 他に何も取得についての根拠資料が無くても取得価額について納税者の記憶がある程度あればその補足資料として使える可能性はある
  • 実務的な対応として、推定値を若干保守的(低め)に考慮するのも1つの方策

といった感じでしょうか。

会社法ひな型改訂

経団連公表の会社法のひな型について2016年以来の改訂がされたようです。「(改訂版)公表にあたって」では、2019年12月の会社法改正に伴い、会社法施行規則等が改正されたこと、「時価の算定に関する会計基準」「収益認識に関する会計基準」「会計上の見積りの開示に関する会計基準」の策定に伴い、会社計算規則が改正されたこと等から、所要の修正を行いました。と書かれています。

上記のような会計基準が出たことに伴って注記項目が増えたり、記載内容が変更となったりといった計算書類部分での変更もありますが、事業報告部分での変更もあり、事業報告部分では、「事業年度中に会社役員(会社役員であった者を含む)に対して職務執行の対価として交付された株式に関する事項」、 「補償契約に関する事項」、「役員等賠償責任保険契約に関する事項」、「業績連動報酬等に関する事項」等が新設されています。

上記の「事業年度中に会社役員 (会社役員であった者を含む) に対して職務執行の対価として交付された株式に関する事項」はあくまで事業年度中に交付された場合が対象となり、事前交付型の譲渡制限付株式は制限解除がされていない場合でも交付されていれば記載の対象となるとの事です。

自己株式の会計処理

自己株式の会計処理については、自己株式等会計基準にその処理が定められています。まず取得時においては、会社法の考え方と同様に株主に対する金銭の交付という考えから、取得原価をもって純資産の部から控除する事となります。付随費用についてはあくまで株主との間の資本取引では無いことから営業外費用としての処理となります。

処分時の処理としては、処分した自己株式の簿価とその対価の差額について、自己株式処分差益(差損)として処理を行う。この自己株式処分差益(差損)はその他資本剰余金であり、自己株式処分差損が発生した結果、会計期間末にその他資本剰余金の残高が負の値となればその他利益剰余金への振替が必要となる。

償却時の処理についても、償却する自己株式の簿価をその他資本剰余金から減額する処理を行う。その結果会計期間末にその他資本剰余金が負の値になった場合のその他利益剰余金への振替は上記処分時と同様である。

資料作成ルール

資料作成センスの無い僕が読んだ「外資系投資銀行の資料作成ルール66」という本を読んでのとりあえず基礎中の基礎のエクセル編の備忘録です。

エクセルでの表作成編

  • 行の高さは18統一
  • 背景の枠線(目盛線)は消す
  • 文字のフォントはArialかメイリオ
  • 文字は左揃え、数字は右揃えで表に縦線は使わない
  • 単位だけの列を1列作る
  • ベタ打ち数字は青、計算式結果の数字は黒、ベタ打ちと計算式は混ぜない
  • 重要項目行は薄い背景色でアクセントつける
  • 項目が多い方を縦軸、少ない方を横軸に配置

エクセルでのグラフ作成編

  • 折れ線グラフの主役は暖色系、脇役は寒色系かモノクロ
  • 折れ線単位は縦軸左上、データ名は折れ線の右、グラフ目盛線の本数は3~4本に
  • 圧倒しているなら円グラフで協調、微妙な差なら棒グラフ
  • 項目数が多い時は縦棒ではなく横棒グラフに

以上が本を読む前から既に意識している極少数のものは除いて、備忘しようと思ったルールです。(実際に行うかは未定)

無償減資

コロナの影響により、無償減資を行う会社が増えているようです。無償減資を行う理由としては、マイナスの利益剰余金を補填するいわゆる欠損填補のための減資という点だけでは無く、この際だからという事で新聞に書かれているような税務上のメリットをとるという意味合いも強いのではと思います。減資により、資本金が1億円以下になると、国税(法人税)では15%軽減税率の適用(所得800万円以下)や交際費の800万円までの損金算入が認められる等のメリットがありますが、地方税でも下記のような影響があります。

まず、資本金が1億円超の場合に負担する事になる外形標準課税の適用が無くなります。資本金1億円以下の会社の事業税は(繰越欠損控除後の)課税所得が出ていなければ課税されることは無いのですが、資本金が1億円超の法人は課税所得が出ていなくても、付加価値割や資本割により赤字であっても事業税が発生する事になります。但し、課税所得が多額に発生するような法人では、逆に外形標準課税の対象であった方が有利となる場合もあります。

また、これは単純に資本金のみの金額ではなく、税務上の資本金等の金額と会社法上(会計上)の資本金+資本準備金のいずれか大きい方を基準として使用しますが、地方税の均等割(都道府県民税、市町村民税)も1千万円、1億円、10億円、50億円の各段階で以下か超かによって税額が分かれるので、これも無償減資による欠損填補を行う事により税務上のメリットを受けられることになります。拠点が少ない会社であれば均等割減額のメリットはそれほど影響は大きく無いかも知れませんが、多店舗展開している小売りや飲食店等の多くの市町村をまたがって展開している会社であれば影響は大きくなります。