関連当事者との取引に関する注記(子会社からの配当の受取)

関連当事者との取引に関する注記は連結財務諸表を作成している会社の場合、財務諸表等規則と会社計算規則から、有価証券報告書においては連結財務諸表の注記として、計算書類においては個別注記表において開示する事が必要となるため、任意で開示しない場合は有報(連結)と計算書類(単体)で開示内容が異なってくるかと思います。

ここで、連結子会社との取引は連結上は相殺消去されるので、連結上の注記では出てきませんが、計算書類での開示では個別のため、子会社との取引も基準に引っかかれば開示が必要となります。そして、表題()内の配当金を子会社から受け取った場合の開示については、関連当事者の開示に関する会計基準において「配当の受取りその他取引の性質からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引」は開示対象外とするとなっており、会社法上もこれをしん酌する事になると考えられます。

しかしながら、他社例を見ていると個別注記表において子会社からの配当の受取を注記に記載している会社もあるようです。これは積極的開示というよりは、注記の表下の注書もされているのを見ると、大株主である親会社からの意向で配当がされるという事が一般の取引と同様であることが明白であるとは言えないため、記載しないといけないだろうという趣旨での記載なのでしょうか。そうだとすると逆に金額基準等の他の基準に引っかかった場合で、開示対象外となる取引条件が一般の取引と同様であることが明白な配当の受取とはどういう場合の配当の受取があるのかが気になります。

健康保険料の負担

健康保険料の負担は健康保険法161条により被保険者と事業主で2分の1ずつの負担となっています。健康保険組合の場合は事業主の負担割合を増加させることが規約で定める事により可能ですが、協会健保の場合は負担割合を変更は出来ません。

ここで、会社によっては健康保険料を事業主のみが負担している会社があるかと思いますが、これは許されるのでしょうか。

この点、こういった場合においては、会社が負担した健康保険料についても健康保険における賃金(税務上も)となるので、会社が負担したという事では無く、健康保険料込みの給料が給料総額となり、その中から健康保険料を支払ったという形になっているという事で、消費税の税抜なのか税込という感覚に近いような気がします。

休業手当

雇用調整助成金関係について何度か記載していますが、雇用調整助成金を受給するには前提として、休業手当を支払う必要があります。賃金の支払はノーワーク・ノーペイが原則となりますが、労基法26条において「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と定められており、当該条文により、休業手当の支払は法律上の義務となります。

使用者の責に帰すべき事由による休業については、例えば操業度の低下や部品等が入ってこない事による一斉休業等も使用者の責に帰すべき事由となるので、そういった場合には休業手当の支払が必要となります。

ここで、条文上平均賃金とありますが、平均賃金とは原則として、「算定事由発生日以前3カ月間の賃金額を算定事由発生日以前3カ月間の総暦日数で除した金額」となります。(労基法12条1項)

つまり、この計算式によると所定労働日数で除するのでは無く、暦日ベースになるので、例えば週休2日で残業や休出を全くしない場合には大体労働日ベースの3分の2位の額になる計算となります。そして、その平均賃金の60%が休業手当の最低額になります。

雇用調整助成金が支給されるという事もあって休業手当を100%で支給されている会社は多いかと思いますが、休業手当100%支給と言っても、原則的な平均賃金に基づき100%支給をしているとすると労働者側からすると思っていたより少ない…となるんじゃないでしょうか。

フリーランス等への交通費等の支払い

士業やフリーランスとして働く人の交通費をクライアントがそれらの人に支払う場合においては、報酬として源泉徴収の必要があります。一方で、クライアントから交通機関や宿泊施設へ直接払った場合には源泉徴収は不要となります。(所得税基本通達204-4)

税務通信3615号にこの点についての記事がありましたが、国税庁への取材により立替払いの場合は源泉徴収不要との事で確認がとれたとの事です。つまり、記事によれば領収書をクライアント名義でとり、当該クライアント名義の領収書を提出する事により精算処理を行う事で立替払いとなり、その場合は源泉徴収不要という事のようです。

領収書を自分(個人)名義かクライアント名義でとるかの違いですが、公共の交通機関でも新幹線等の長距離のものならまだしもローカル線なんかでもいちいち必要になるんでしょうか。ローカル線の運賃はそもそもクライアントへの請求の際に金額や乗降駅位の記載だけでしているケースも多いと思うのですが、この場合は立替と認められるんでしょうかね。

雇用調整助成金の計上時期

雇用調整助成金は税務上の計上時期は申請時なのか通知があった時なのか、 いつ計上すべきかについてです。

ここで、法人税の基本通達の2-1-42に「賃金、職業訓練費等の経費を補填するために雇用保険法、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。」と記載があります。

雇用調整助成金についてみると、休業手当は賃金に、雇用調整助成金は雇用保険2事業の雇用安定事業として行われる助成金であるため、上記の給付金等にあたります。とすると、申請をした時でも入金があった時でも通知が来た時でもなく、原因となった休業の事実があった日の属する事業年度となります。

補足ですが、障碍者の法定雇用率を上回った結果受け取る事が出来る障碍者雇用調整金は上記の給付金等に当たらず、支給の決定を受けた時になります。これは、雇用調整助成金は費用の補填なので費用と収益を対応させるという意味合い、障碍者雇用調整金は費用の補填という性質では無いためという理由のようです。

四半期特有の会計処理(税金)②

以前に四半期特有の会計処理の税金計算について記載しました。見積実効税率を用いて税金計算を簡便的に行う方法となりますが、ここで、税前利益がマイナスとなる場合、つまり税金費用がマイナスとなる場合の相手勘定科目について議論となりました。

四半期会計基準の第14項では、「四半期貸借対照表計上額は未払法人税等その他適当な科目により、流動負債又は流動資産として表示」と記載があるので税金費用がプラスの時には未払法人税等を使うという事になるとは思いますが、マイナスの時については明確に記載がありません。

この点、「その他適当な科目」がポイントになってくるかと思うのですが、「中間財務諸表等における税効果会計に関する実務指針」の第20項において、「資産に計上される場合は、投資その他の資産の区分に繰延税金資産などその内容を示す科目をもって表示する。」と記載がある(お恥ずかしながら知りませんでした。)ので、これを参考にするのが一番良いのではという結論に達しました。まあ、確かに繰延税金資産が妥当なのでしょうね。

外貨のれん

外貨建取引等の会計処理に関する実務指針の第40項によれば、在外子会社を連結する場合に、のれんについては原則として支配獲得時に当該外国通貨で把握する。となっており、決算時においてのれんの残高については決算時為替レート、償却額については期中平均レートにて換算する旨記載されています。また、当該のれんについては、全て親会社持分に係るものであり、非支配株主持分への振替は行われません。

これは、平成20年に改正されて上記の内容になったようですが、理由としてはのれん=超過収益力は当該在外子会社に帰属する他の資産と同じだろうという事で他の資産と同様に決算日のレートで換算するべきでは等の背景があったようです。

因みにこれも第40項に記載の通りですが、償却額については期中平均レートを使用するので為替換算調整勘定が償却額の適用レート差と期首と期末の決算日レート差の両方から生じる事となります。のれんの減損をした場合も償却額と同様のレートとなり、当該レート差からも為替換算調整勘定への影響が出てくると考えられます。

雇用調整助成金の入金がありました

6月前半に雇用調整助成金の申請を行い、入金が無事ありました。弊社以外のクライアントの状況等も含めて鑑みると、当局(なのか外注業者なのか分かりませんが)はかなり柔軟かつ親切に対応されているようです。

弊社においても事業所単位での申請になるので複数申請しましたが、地域によっては不備不足の取り扱いが異なりました。例えば対象者が休業した月日について分かる資料を当初添付していなかったのですが、それでも特に問題無く入金があった申請もあれば、追加で当該資料を提出したものもありました。

取り扱いが違うとはいえ、いずれもかなり柔軟かつ親切に対応頂いているという印象でした。例えば対象となる休業日を含めるのが漏れていたが、別途添付した裏付け資料で確認が出来たのでということで、先方にて修正して頂いたりといったケースもありました。

細かく確認して、修正や追加を要請して、という事をしていてはこの御時世なので人手も足りずとても捌けないといった事情もあるのでしょうが、そんな中での丁寧な対応には頭が下がる思いです。

KAM(監査上の主要な検討事項)

KAM(監査上の主要な検討事項)についての監査報告書への記載は、2021年3月期より強制適用になりますが、経営財務の3465号によると2020年3月期の有価証券報告書にて、44社(2019年12月期で他1社あり)の早期適用が確認されているようです。

強制適用になれば、ざっくりいえば監査報告書において、監査人が監査において主要な検討事項とした内容や決定理由、当該事項への対応について記載が必要になります。これまでほとんど無限定適正意見であまり代わり映えのしない監査報告書でしたが、この制度によって監査報告書の情報提供価値がより上がるように思います。

早期適用した会社をざっと見た感じではやはりのれんの評価や固定資産減損、引当金等の見積り関係についての記載が目につきました。そのほかでは基幹システム移行リスクに関しての記載なんかもありました。割と自由な感じが現段階ではするのですが、まだこの経営財務が出た時点で45社なのでゆくゆくはある程度記載内容はスタンダードな形が出来て来るんだろうとは思います。

B/S(貸借対照表)残高の妥当性

B/S残高の妥当性と表題に記載しましたが、B/Sの科目の残高については、見積等が絡まなければ、いわゆる監査要点でいうところの実在性や網羅性、権利と義務の帰属であったりといったところが一般的に担保されていなければなりません。多くの中小企業会計においても、B/S残高についてある程度定期的な検証を行っていれば上記の点は確認されているかと思います。

しかしながら、P/L(損益計算書)を重視するあまりB/Sを検証していない等、B/Sを軽視する会社は割とあるかと思います。そういった会社は知らず知らずのうちにB/Sが荒れていき、科目残高が妥当と言えるかどうかわからなくなってしまいます。

そうなると、B/Sが合っているのかどうなのかは感覚的なものになってしまいますが、そういった会社では「でもP/Lは確認しているから大丈夫」という答えが返ってきたりします。ここで、配当の支払等を除けば、単純にB/Sの純資産の増加(=資産-負債)がP/Lの利益になる事を考えれば、B/Sが妥当かどうかわからないのにPLの数字が大丈夫と言えるのか甚だ疑問に思います。