収益認識基準適用初年度の期首残高調整

収益認識基準が2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から強制適用されることとなり、会計上は、原則的取り扱い・経過措置にかかわらず、遡及修正により期首剰余金及び貸借対照表の関係科目の金額が変わることになります。

一方で法人税法上は遡及適用という考え方はないため、当然前事業年度末の利益積立金額が当事業年度の期首の利益積立金額と一致することになります。したがって,適用初年度の法人税申告書の別表5(1)の期首現在利益積立金額の箇所で、一定の資産科目または負債科目と繰越損益金の項目の箇所に調整を入れることとなり、期首現在利益積立金額のトータルの数字は、前事業年度末の利益積立金額と同額となることとなります。

つまり例えば出荷基準から検収基準に変更したことにより、売上が500、売上原価が300遡及修正により減額(ここでは税効果等は無視)され、会計上の利益剰余金期首残高が△200修正された場合を考えると、税務上は前期の申告書の別表5(1) 差引翌期首現在利益積立金額に戻すべく、当期申告書の別表5(1)の期首現在利益積立金額の箇所で+200の調整を行うことになります。

リーダー向け社内研修

リーダー向けの社内研修を行いました。人材育成の部署から内容はB/S(貸借対照表)についてでお願いします。という事で依頼がありましたので最初にB/Sとはなんぞやというところから簡単な財務分析の指標の説明及び演習問題、そして最後にその指標を用いた事例検証(粉飾事例)といった具合で進めました。

難しかったのは、研修の対象となる人は普段経理事務をしている訳ではなく、現業部門であったり営業職であったりといった方々だったことです。皆さん利益については常々意識されていてもB/Sという言葉をこれまで聞いた事がなく、当然複式簿記の概念自体も分からないためB/Sとはなんぞやという初っ端の説明の部分から皆さん一様に顔をしかめていたので、一瞬どうしようかと思いました。

しかしながら進めていくうちに全て理解できている訳ではないにしても、問題演習等では割と正解されていましたし、後半は体力的に厳しそうでしたが最後まで何とかくらいついて来て貰えたかと思います。今回は財務的に安定していることの重要性、また、結局は利益を上げるという事が財務の安定に繋がっていく事等とともに会社で重要視している経営指標についても再度改めて説明をする機会となったのでやって良かったと手前味噌ながら思います。

児童手当

児童手当は、日本国内に住民登録のある中学校終了までの児童を養育する場合に、その養育者に児童手当法に基づき支給されるものです。児童手当は1月あたり、3歳未満であれば1人15,000円、3歳以上は1人10,000円(但し3歳から小学生までの第3子以降は1人15,000円)が支給され、10月、2月、6月にそれぞれ4か月分ずつが支給されます。一方で所得制限もあり、前年が所得制限限度額以上であれば1月当たり、一律1人5,000円の支給となります。

ここで、この所得制限限度額については、世帯単位ではなく、通常は世帯の中で一番所得が多い人の所得が対象となり、限度額は622万円に扶養親族の人数×38万円(老人扶養親族の場合は44万円)を加えた金額となります。

所得額については児童手当法施行令第3条に定めがありますが、所得税や住民税の計算における所得計算とは異なるので注意が必要です。特に、所得控除については医療費控除やひとり親控除等は所得税の計算におけるものと同様ですが、社会保険料控除や生命保険料控除、基礎控除等がありません。(逆に施行令に定める控除8万円があります。)

つまり、所得税の計算における所得を基準に所得制限限度額を下回っていると考えていたとしても、児童手当においては実は限度額を超えてしまっていて受給額が少なくなるということが起こり得ますので注意が必要です。

譲渡制限付株式(実務対応報告第41号)

2020年1月31日付の譲渡制限付株式で書きました処理方法ですが、2021年3月1日以降に生じた取引について、実務対応報告第41号「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」にて取り扱いが明確化されました。

経済産業省の「「攻めの経営」を促す役員報酬」によると、例えば報酬対価としての譲渡制限付株式交付を、事前交付で現物出資型で行う場合には、従前どおり会計上は「前払費用等××/資本××」という処理を行い、基本的に譲渡制限期間を通して前払費用を費用化していくという処理になります。実務対応報告では会社法改正で可能となった無償交付型の処理について記載がされています。

無償交付型の場合、期間を通して費用化する点では現物出資型と変わりませんが付与時の処理としては、新株発行での付与の場合では会計処理は行わず、自己株式の付与の場合は「その他資本剰余金××/自己株式」という処理を行う事になります。

また、費用化する際については、新株付与の場合は「費用××/資本××」自己株式付与の場合は「費用××/その他資本剰余金××」となり、よって未達没収時においては新株付与の場合は無償の自己株式の増加、自己株式付与の場合は付与時の簿価ベースで「自己株式××/その他資本剰余金」という対応分を戻す処理を行うようです。

個人事業税(請負)

個人事業税は、地方税法第72条の2で定められた事業を営んでいる個人が納める税金で原則として納付期限は8月と11月期限の年2回となります。第一種事業から第三種事業に分類され、税率は柔道整復師等の3%、畜産業の4%、最も多い業種に適用される5%となります。

ここで、例えば建設業や内装工事関係等で請負の契約形態をとっていても、実質的には雇用に近いような形で仕事をされている方もおられるかと思います。個人事業税は所得税の確定申告や決算書の内容をベースに賦課課税方式がとられますが、確定申告や決算書の内容だけでは請負業に該当するかどうかの判断ができず、その確認のための照会文書が府税事務所から送られてくることがあります。

確認される内容としては概ね独立性や危険負担等の観点からとなり、どの都道府県もそこまで変わらないとは思いますが、例えば大阪であれば、時給や日当制で単価が決められているか、発注元から拘束時間が決められているか、下請けを自分の判断で使っても良いか、他の発注元の仕事を受けても良いか等の項目になります。

これらの回答を受けて府税事務所のほうで総合的に考えて該当するかが判断されるようですが、問い合わせて聞いてみたところ、結果的に請負業に該当しない(個人事業税が課税されない)となった場合でも、そのことをもって発注元に何か影響を及ぼすような事を府税事務所はしませんとのことでした。

特定譲渡制限付株式の税務

以前に触れた譲渡制限付株式で、当該譲渡制限付株式が当該役務の提供の対価として当該個人に生ずる債権の給付と引換えに当該個人に交付されるものであるもの等の場合は特定譲渡制限付株式(法人税法第54条1項)となります。

特定譲渡制限付株式を交付した場合の損金算入時期は、役員や従業員に給与所得等としての課税が確定した時期となり、その課税確定時期は譲渡制限が解除された日です。( 所得税基本通達 23~35 共-5 の 3 )

そして、損金に算入するためには事前確定届出給与となるので、原則として納税地の所轄税務署長に「その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容に関する届出」をしていることが必要とされています。

ここで、職務の執行の開始の日(原則、定時株主総会の日)から 1 月を経過する日までに株主総会等(株主総会の委任を受けた取締役会を含むものと解されます。)の決議により取締役個人別の確定額報酬又は確定数の株式についての定め(その決議の日からさらに 1 月を経過する日までに、その職務につきその役員に生ずる債権の額に相当する特定譲渡制限付株式又は確定数の株式を交付する旨の定めに限ります。)がされ、その定めに従って交付されるという要件を満たす場合については、上記届出は不要とされています。(法人税法第34条1項2号、法人税法施行令第69条3項1号)

中間申告

法人税法第71条で一定の法人以外は中間申告をしなければならない旨が定められています。中間申告の際には①(前期が12ヶ月間あるとして)前期の6/12の予定申告か、②半期で仮決算を行ったうえでの申告に基本的にはなります。

①の予定申告については以前にも書いた「経過措置」により6/12にならない事もありますが、そうでなければ前期の年税額の半分となります。また、②については、例えば前期は儲かったものの、当期の業績が芳しくなく、前期の年税額の半分を納める資金的な余裕もあまりないような場合に、中間納付額を出来るだけ少なくするというような目的で仮決算を組んで半期ベースで申告を行うものになります。

ここで、法人税法第73条で中間申告を行わなかった場合には、上記の①で中間申告書の提出があったものとみなすとされています。つまり、中間申告を忘れていたような場合でも、出したものとみなされるので無申告にはならないよという事になります。但し、納付をしなければ延滞税は当然発生しますのでその点は注意が必要です。

特別償却(中小企業投資促進税制)

青色申告書を提出する中小企業者等(資本金3,000万円超も含む)が特定機械装置等を取得し、製造業や建設業等の一定の事業の用に供した時は普通償却に加えて特別償却を受ける事が出来ます。

ここで特定機械装置等とは1台当たり160万円以上の機械及び装置や1式70万円以上のソフトウェア等がそれにあたり、特別償却として基準取得価額×30%が損金算入出来ます。(資本金3,000万円以下の中小企業者等は税額控除との選択可)

一方で会計上の処理としては、特別償却を利益に影響させるかどうかという点があります。つまり、特別償却に関しては税制上の措置であり、適切な期間損益の観点からは利益に影響させるべきでは無いと言えます。

そこで、剰余金処分方式により、「繰越利益剰余金××/特別償却準備金(純資産)××」という処理を行い、その後時の経過により、取崩しを行っていくという方法が損益計算の観点からは望ましいと考えられます。

とはいえ処理が煩雑となるため、多くの中小企業は特別償却を利益に影響させる方法をとっているのではと思います。ここで、特別償却を会計上の損益に影響させる場合には原価計算基準により非原価項目として扱われますのでその点注意が必要です。

組別総合原価計算

久しぶりに総合原価計算に触れることになりました。そもそも総合原価計算は大量生産品目に対して一定期間に要した原価の総額をその期間の生産量で割ることにより単位当たりの平均製造原価を算出し、例えば期末時点の仕掛品や製品の在庫金額を計算したりするために行う計算になります。

この総合原価計算にも、単純総合原価計算、工程別総合原価計算、組別総合原価計算、等級別総合原価計算等の種類があるのですが、このうち今回業務で触れたのは組別総合原価計算になります。

組別総合原価計算は、工場内で製品を複数種類製造しているような場合に、例えばA製品、B製品とそれぞれの製品群に要した原価を集計し、その期間の生産量を持ってそれぞれの製品群の製造単価を計算します。ここで、集計にあたっては直接的に各製品に紐づきやすい材料費等の直接費と、各製品に直接的には結びつけるのが困難な給与等の間接費があり、この要した間接費を何らかの基準によりそれぞれの製品群に配分する必要があります。この基準はその会社の考え方により、簡易にも詳細にも出来るのでどこまでやるかというバランスをとるのがポイントになると考えます。

非課税の出張手当

出張手当として出張をした従業員へ交通費等のほかに日当として支給をしている会社も多いと思いますが、これは出張に行く事で通常は要しない支出が発生する事に対しての補填という意味合いのものとなり、その範囲を逸脱すれば給与所得とみなされるリスクがあります。

ここで、所得税基本通達9-3において、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては

  • その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
  • その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

という基準が示されてはいますが、明確な基準とはいえません。当該支給額については所得税がかからないことから、節税対策の基本ともなっていますがあまりにも高額な日当だと、上記の通り給与所得とみなされる可能性もあるので注意が必要です。

また、同一労働同一賃金の観点からは、例えば職務内容が同じにも関わらず、雇用形態によってその支給額に違いがあるような場合には、その差額には当然合理的な理由が必要となります。