事業復活支援金

事業復活支援金に関しての事前確認を御依頼頂くことが増えてきています。事業復活支援金の金額的な要件としては、「2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上又は30%以上50%未満減少した事業者」の方が対象となり、「基準期間の売上高-対象月の売上高×5」の給付額が受け取れるというものとなります。

個人事業主の方は50%以上減少の方は50万円、 30%以上50%未満減少 の方は30万円が上限となるので、どの月を対象月にするのか、基準期間をどこにするのかという点について検討しなければ、受け取れる金額が変わってくる可能性があるので注意が必要です。

また、新型コロナウイルス感染症対策として国又は地方公共団体による支援施策により得た他の補助金等は除いて考えますが、飲食店等が受けている「時短要請等に応じた者に対しての給付で、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のうち協力要請推進枠交付金が充てられるもの 。」については対象月のみに加算して計算する必要があります。

事前確認後に基準期間を変更したい場合等には事前確認を修正する必要が出ますが、これは事前確認を行った登録確認機関が事務局へ電話をし、本人確認後数日を要するようです。正直事務局に電話をしても、電話の応対者により対応に天と地ほどの差があり、個人的には面倒なので事前確認を行った登録確認機関が変更や修正出来る仕組みにして欲しいところです。

心の健康づくり計画助成金

事業者が、メンタルヘルス対策促進員の助言·支援に基づき、心の健康づくり計画を作成し、当該計画に基づきメンタルヘルス対策の全部又は一部を実施した場合に、費用の助成(1律10万円)を受けられる制度として、心の健康づくり計画助成金というものがあります。

流れとしては、各都道府県に設置されている産業保健総合支援センターにメンタルヘルス対策促進員の方に訪問して頂く予約を取り、訪問時に心の健康づくり計画の策定、事業場内体制の整備等のメンタルヘルス対策の導入のための助言を受けることにより進めます。

訪問は複数回になり、弊社の場合は初回に心の健康づくり計画について、ひな形を用いての説明と弊社用のカスタマイズについての具体的なアドバイスを頂き、2回目訪問にてその計画内容の確認、3回目にて計画内容の一部又は全部の実施についての確認という形で進むようです。

助成金の申請はその後、労働者健康安全機構に行うことになりますが対策促進員の方の助言も具体的なので、社労士等の外部専門家の介入が特に無くても進めやすい制度かと思います。

児童手当

児童手当は、日本国内に住民登録のある中学校終了までの児童を養育する場合に、その養育者に児童手当法に基づき支給されるものです。児童手当は1月あたり、3歳未満であれば1人15,000円、3歳以上は1人10,000円(但し3歳から小学生までの第3子以降は1人15,000円)が支給され、10月、2月、6月にそれぞれ4か月分ずつが支給されます。一方で所得制限もあり、前年が所得制限限度額以上であれば1月当たり、一律1人5,000円の支給となります。

ここで、この所得制限限度額については、世帯単位ではなく、通常は世帯の中で一番所得が多い人の所得が対象となり、限度額は622万円に扶養親族の人数×38万円(老人扶養親族の場合は44万円)を加えた金額となります。

所得額については児童手当法施行令第3条に定めがありますが、所得税や住民税の計算における所得計算とは異なるので注意が必要です。特に、所得控除については医療費控除やひとり親控除等は所得税の計算におけるものと同様ですが、社会保険料控除や生命保険料控除、基礎控除等がありません。(逆に施行令に定める控除8万円があります。)

つまり、所得税の計算における所得を基準に所得制限限度額を下回っていると考えていたとしても、児童手当においては実は限度額を超えてしまっていて受給額が少なくなるということが起こり得ますので注意が必要です。

教育訓練 受講レポート

雇用調整助成金の審査ハードルが上がっているようです。以前はそれほど指摘が無かった箇所についても修正や追加で書類が必要になったりと、直接労働局の方に聞いたところでも厳しくなっているようです。

休業だけでなく、教育訓練を実施した場合にも雇用調整助成金が受けられることは前にも少し触れましたが、その場合には研修等の教育訓練を行ったという実績を示す受講レポートを受講した従業員本人に記載して貰い、提出する必要があります。

今回受講レポートの内容について指摘がありました。話を聞いている限りでは先方の方が言われるのはもっともだと思える内容で、受講レポートとしてはその研修等により何を新たに学べたのかや、それがどう会社の生産性向上に寄与するのか等についても触れている必要があるというものです。

言ってみれば従業員に研修をして支払った給料をお国が補填しますよという事なので会社も受講した従業員もそれ相応のエビデンスを出すのは当然という事でしょう。

雇用調整助成金申請期限

雇調金の申請期限は判定基礎期間(原則として毎月の賃金の締め切り日の翌日から、その次の締め切り日までの期間 )の末日の翌日から2カ月以内となっており、例えば11月末締め給与に係る申請の場合は1月末が期限となります。

ここで、2021年2月末は日曜日で休日になりますが、この場合の申請期限はいつになるかというと、雇用関係助成金支給要領によれば、「支給申請期間の末日が行政機関の休日(土曜日、日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日及び12月29日から翌年の1月3日までの日)に当たる場合は、翌開庁日を支給申請期間の末日とみなす。」とあるので3月1日の月曜日になります。

但し、郵送の場合には申請期限内に助成金事務センターへ到達しない場合は、不受理となるようですので、2月中に送る事が出来なかった場合は3月1日に直接持参すればギリギリセーフという事になります。

また、支給要領にあるように天災その他やむを得ない理由がある場合は当該理由のやんだ後1ヶ月以内に理由を記した書類を添付して申請可能とあるため、コロナの影響で書類がなかなか揃わない等の理由がやむを得ない理由となれば申請可能です。(過去にコロナの影響で期限内に資料が揃わなかった分があり、遅れてしまったのですが、認めて頂けました。)

一時支援金

主に時短営業又は外出自粛等の影響を受けた飲食店や飲食店に関わるような事業者等を対象として、2019年又は2020年比で 2021年の1月、2月又は3月の売上が50%以上減少した事業者に対し、個人事業主で最大30万円、中小法人等で最大60万円の支援金を受けられる事になります。

3月初旬から受付が開始され、確定申告書や売上台帳、通帳の写し等、持続化給付金と同じような必要書類のようですが、異なる点として事業確認機関から①事業を実施しているのか②一時支援金の給付対象等を正しく理解しているか等を事前確認し、事業確認通知(番号)の発行を受ける必要があるとの事です。

この事業確認機関は、事前に確認機関として登録された認定経営革新等支援機関や商工会議所等のそれに準ずる機関、税理士や公認会計士がそれに当たる事になります。持続化給付金で横行した不正受給への牽制、防止対策という事でこのプロセスが含められたんでしょうね。

雇調金 半日訓練

雇用調整助成金では、半日研修等の教育訓練をした場合にも申請により加算額が受給出来ます。この半日訓練は、3時間~1日の所定労働時間未満の教育訓練を指すという事ですが、ここで、対象者は1人を除き所定労働時間8時間、所定労働時間5時間の対象者が1人だけいるような場合の半日訓練(4時間)の影響はどのようになるか考えてみます。

通常1日休業した場合には、5時間勤務の人であろうが8時間勤務であろうが1日は1日としてカウントされて、1日当りの平均賃金額を乗じることになります。一方で8時間勤務の人にとって半日、すなわち一律4時間の教育訓練を行った場合ですが、5時間勤務であれば、1時間の時短休業+半日訓練として扱われるという事です。

ここで、5時間勤務の対象者のみ切り取れば、1時間の時短休業及び半日訓練はそれぞれ切り上げで1日となり、2日分の助成金+1日訓練の加算額が受給される事になります。せこい話になりますが、計算過程により、通常よりも1日分助成金の額が増える事になります。

但しこれが数日、例えば上記と同じような4時間訓練の日が2日あるとすると、2時間の時短休業が切り上げで1日に、半日×2=1日分の訓練となり、2日分の助成金+1日分の訓練加算となり、3日あるとすると3日分の助成金+2日分の訓練加算、4日になると、3日分の助成金+2日分の訓練加算、5日になると、4日分の助成金+3日分の訓練加算

というように4日以上になると、訓練加算をしない方が受給額は多くなる可能性が出てきます。まあだから何だという話ですが

※教育訓練をした場合は任意では無く、その事実に基づいて申請をする事が必要になります。

2020年振り返り

年内最後に2020年の主な事項の振り返り

  1. ほぼ全てのミーティングや社内懇親会がオンライン化され、拠点間の行き来が減った。
  2. 会計や税務の関与先が増加、システム関係のコンサル業務も開始
  3. 年始から組織図を改変し、間接系部門として管理本部を独立した部として設置した。結果、各セクションの指示系統が不明瞭だったことが明瞭化し、伝達等がスムーズに
  4. JB(ジュニアボード)での協議により、全社集会のオンライン化や会社の新HPのコンテンツ内容の決定等、全社的な取組がいくつも決まった。
  5. 会社の1つの部門が不採算のために廃止となった。
  6. 雇用調整助成金や学校休校助成金等、いくつかの助成金の申請業務を行った。
  7. 社会保険労務士試験に合格した。(2021年登録完了予定)
  8. 基本的には週2アップの当ブログを続けることが出来た。
  9. コロナの影響で太った。
  10. コロナの影響で担当している派遣スタッフの引継ぎが行えず、管理本部に所属しながら、担当の派遣スタッフを持ち、会計や税務のコンサルも直接行うという体制が続いた。
  11. 初めて社内向けの研修講師を行った。来年も行う予定

他にもいろいろあったかと思いますが、ぱっと思いついたのは上記でした。

自己都合か会社都合か

事業所を閉鎖したことにより退職が発生する事になった場合にその退職が自己都合となるのか会社都合となるのかという点は会社サイドにとっても退職者サイドにとっても関心事になるかと思います。

会社側からすると雇用関係の助成金等に影響を受ける可能性があるためで、退職者側からすると雇用保険の基本手当(失業手当)に影響を受ける可能性があるためです。

この点、例えば事業所が閉鎖したとしても近くに別の事業所があり、その事業所での仕事が用意されているにも関わらずそれを断っての退職のような場合には自己都合退職と判断されると考えられます。(当然雇用契約時に職種限定がされているような場合や給与水準等の待遇が大幅に悪くなるような職種転換等の事情があれば別です。)

とはいえ制度上に照らしての判断とは別で対人というところの難しさもあります。例えば退職者側が一方的に会社都合であると信じて疑わないような場合には話はややこしくなる可能性がありますので、閉鎖が決まった段階でじっくりと対策を練りながら話し合いを進めて行く事が必要となるでしょう。

雇用保険の非該当承認申請

現状雇用調整助成金は、基本的に雇用保険の事業所番号を持っている事業所単位で要件を満たせば申請出来る事になります。そのため、例えば法人全体を1つの雇用保険の適用事業所としている場合では、法人全体で要件を満たしていなければなりません。例えば複数店舗を有しており、店舗ごとを見れば要件を満たす店舗があっても、この場合申請出来ないことになります。

ここで、雇用保険の非該当承認申請という申請制度があります。これは、対象事業所が人事、経理、経営又は業務上の指揮監督、賃金の計算、支払等に独立性がないこと等の要件を満たす場合に申請が可能となり、当該申請が承認された場合には、正式に当該事業所についての雇用保険関係事務は組織上上位に位置する事業所で取り扱うことになります。(因みに労災保険料率が同じ複数事業所について認められる継続事業の一括とは異なる制度です。)

そして、この非該当承認申請を受けた事業所については、雇用保険の事業所番号を持っていないにもかかわらず、要件を満たせば雇用調整助成金の申請が当該事業所単位で可能となります。もしかしたら当該申請により、雇用調整助成金を受給できる可能性が出る会社もあるのでは無いでしょうか。