税務通信3620号で居住用賃貸建物の消費税仕入税額控除についての記載がありました。この号での論点は契約締結時の課税仕入計上についての否認リスクについての記載でしたが、この居住用賃貸建物の消費税については、いわゆる自販機スキームから始まった当局と何とか還付に持って行きたい納税者側との闘いの歴史でもあるようです。
そもそも自販機スキームですが、ざっくり言うと居住用賃貸建物を貸すことによって計上される収益は非課税となることから、建物取得の1期目の賃貸収入が無しの状態で、自販機設置に伴い得られる販売手数料のみを課税売上とする事によって建物取得に要した消費税を全額税額控除するというもので、取得後3期間の平均課税売上割合が著しく変動した場合の再計算ルール(調整対象固定資産のルール)も3期目を免税事業者に戻す事で回避するというスキームでした。
ただこれは1期目から課税事業者にあえてなった場合は3年間は免税事業者に戻れないルールが設けられた事により、上記基本的な形式では出来なくなりました。その後も高額特定資産(1,000万円以上の棚卸資産や固定資産)のルールが出来たことにより、更にハードルが上がりましたが、現在も金地金の取引により課税売上を創出し、調整対象固定資産のルールをくぐり抜けたり等、未だ可能性は残っていることから、居住用賃貸建物に係る消費税の控除について税務通信の記事にもある通り、当局と納税者側との争いは度々起こっているようです。