日本の多くの企業では関係してこないので、?な言葉かも知れませんが、固定資産の減損に係る会計基準という基準があり、かなりざっくりいうと儲けを生まない、時価を鑑みても簿価より大分低い等の事業用の固定資産や土地は帳簿上の価値が無いので損失処理しましょうという基準です。
プロセスとしては、まずその資産に減損の兆候があるかを検討し、兆候がある場合は減損の認識、測定といった具合に進み、帳簿価額と回収可能価額との差額を減損損失として損失計上するという形になります。
ここで、まず兆候があるか無いかという分岐点なのですが、兆候の1つとして概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位である資産又は資産グループの営業損益や営業キャッシュ・フローが継続してマイナスとなっているかマイナスとなる見込みである場合があります。この点、営業損益か営業キャッシュ・フローかで結構影響が変わってきます。
営業損益といえば、当然検討対象となっている資産の減価償却が加味されていますが、営業キャッシュ・フローといえば減価償却費はキャッシュアウトではないため、加味されない事になります。
結果として、営業利益がマイナスでないという事は減価償却費について回収出来ているという事なので、そのままプラスが続けば対象資産の償却期間で投資回収は出来るという事に、一方、営業キャッシュ・フローがマイナスでないという事はプラスが続いてもそのプラス金額次第で償却期間では投資回収出来ない可能性があるので、当然ハードルに差がある事になります。
適用指針では、80項で「管理会計上、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」だけを把握している企業の場合には、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」によって減損の兆候を把握することも可能であることを示しているものと解される。」と記載がありますが、私の経験不足かも知れませんが、そんな会社は圧倒的に少ないように感じます。
ただ一方で、「営業損益や営業キャッシュ・フローが」と記載があるために、兆候の把握に営業キャッシュ・フローを用いる会社もそこそこあるような気がします。(あくまで個人の感覚です。)