税務上、平成23年度の税制改正に伴い、貸倒引当金の対象法人が縮小されていますが、資本金が1億円以下の普通法人等は現在も貸倒引当金が税務上認められています。ここで税務上の貸倒引当金は個別評価と一括評価という大きく分けると2つの分類で引当金を計算しますが、今回は個別評価の方に触れたいと思います。
というのも貸倒に係る事案が身近でも発生したからです。現時点ではまだ破産手続き開始の申し立てもしていない状況ですが、今後弁護士に連絡をしてくださいとの連絡が来て確認すると、どうやら破産手続きに向けて動いているようでした。
ここで、個別評価の貸倒引当金については、長期棚上げ基準・実質基準・形式基準がありますが、すでに財務状況等についてはある程度調べはついており、当該事案は貸倒引当金だけを考えればこの後の法的手続きの進行により、形式基準しか考えられない状態です。
つまり、今後事業年度末までに破産手続き申し立てが行われた場合は形式基準(法人税法施行令96条1項)を満たし50%個別引当が可能、もしくは以前にも触れた貸倒損失の事実上の貸倒れを用いての貸倒損失の計上の何れかになると考えられます。
どちらにするかについては要相談ですが、簡易さで言えば形式的な基準に基づくので形式基準での貸倒引当金の方が言うまでも無く簡単で分かりやすいです。また、同時廃止になればすぐに全額法律上の貸倒損失で行けるのですが、管財事件になると考えられるのでそれは難しそうです。