雇用調整助成金申請期限

雇調金の申請期限は判定基礎期間(原則として毎月の賃金の締め切り日の翌日から、その次の締め切り日までの期間 )の末日の翌日から2カ月以内となっており、例えば11月末締め給与に係る申請の場合は1月末が期限となります。

ここで、2021年2月末は日曜日で休日になりますが、この場合の申請期限はいつになるかというと、雇用関係助成金支給要領によれば、「支給申請期間の末日が行政機関の休日(土曜日、日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日及び12月29日から翌年の1月3日までの日)に当たる場合は、翌開庁日を支給申請期間の末日とみなす。」とあるので3月1日の月曜日になります。

但し、郵送の場合には申請期限内に助成金事務センターへ到達しない場合は、不受理となるようですので、2月中に送る事が出来なかった場合は3月1日に直接持参すればギリギリセーフという事になります。

また、支給要領にあるように天災その他やむを得ない理由がある場合は当該理由のやんだ後1ヶ月以内に理由を記した書類を添付して申請可能とあるため、コロナの影響で書類がなかなか揃わない等の理由がやむを得ない理由となれば申請可能です。(過去にコロナの影響で期限内に資料が揃わなかった分があり、遅れてしまったのですが、認めて頂けました。)

通勤手当の減額

通勤手当は労働基準法上賃金としての扱いとなりますが、就業規則の変更によって通勤手当を減額する場合どのようなプロセスを経る必要があるでしょうか。

まず、通勤手当=賃金の減額であり、従業員からすれば不利益変更にあたります。そのため、労基法90条に規定されている過半数労働組合もしくは過半数の労働者の代表者の意見を聴いたことのみを持って就業規則の変更手続きをする事は出来ません。

この点、労働契約法第9条において「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」とあり、第10条で第9条の例外的な取り扱いについて規定されています。

第10条では当該不利益変更が諸事情に照らして合理的であるか否かという点に触れられていますが、この諸事情の中に「労働組合等との交渉の状況」が含まれている事から考えても、全従業員が納得の上、同意を得られれば当然一番良いのでしょうが、例え一部の従業員が同意しなくても不利益を被る従業員に必要性を納得してもらうべく会社の現状の説明等を含め、話し合いの場を持つことは当然必要になります。

一時支援金

主に時短営業又は外出自粛等の影響を受けた飲食店や飲食店に関わるような事業者等を対象として、2019年又は2020年比で 2021年の1月、2月又は3月の売上が50%以上減少した事業者に対し、個人事業主で最大30万円、中小法人等で最大60万円の支援金を受けられる事になります。

3月初旬から受付が開始され、確定申告書や売上台帳、通帳の写し等、持続化給付金と同じような必要書類のようですが、異なる点として事業確認機関から①事業を実施しているのか②一時支援金の給付対象等を正しく理解しているか等を事前確認し、事業確認通知(番号)の発行を受ける必要があるとの事です。

この事業確認機関は、事前に確認機関として登録された認定経営革新等支援機関や商工会議所等のそれに準ずる機関、税理士や公認会計士がそれに当たる事になります。持続化給付金で横行した不正受給への牽制、防止対策という事でこのプロセスが含められたんでしょうね。

外国税額控除の控除時期

日本では基本的に発生主義により法人税の課税所得の計算がされますが、国外源泉所得については、その発生した時期と外国での課税時期とがずれる事が往々にしてあります。

この場合に、外国税額控除の適用事業年度と、個々の国外源泉所得の発生事業年度との対応関係をとる必要があるか否かという話です。この点、現行の外国税額控除は、国外源泉所得と外国法人税を個別対応させるという事はせず、必ずしも対応関係のない国外所得金額をベースに控除限度額を計算し、外国法人税を控除する制度となっています。( 法人税法69条①、法人税法施行令142条①)

そして、その時期のずれに調整対応する事が出来るように3年間の控除限度超過額、控除余裕額の繰越が設定されているという事になります。(法人税法69条②③)

雇調金 半日訓練

雇用調整助成金では、半日研修等の教育訓練をした場合にも申請により加算額が受給出来ます。この半日訓練は、3時間~1日の所定労働時間未満の教育訓練を指すという事ですが、ここで、対象者は1人を除き所定労働時間8時間、所定労働時間5時間の対象者が1人だけいるような場合の半日訓練(4時間)の影響はどのようになるか考えてみます。

通常1日休業した場合には、5時間勤務の人であろうが8時間勤務であろうが1日は1日としてカウントされて、1日当りの平均賃金額を乗じることになります。一方で8時間勤務の人にとって半日、すなわち一律4時間の教育訓練を行った場合ですが、5時間勤務であれば、1時間の時短休業+半日訓練として扱われるという事です。

ここで、5時間勤務の対象者のみ切り取れば、1時間の時短休業及び半日訓練はそれぞれ切り上げで1日となり、2日分の助成金+1日訓練の加算額が受給される事になります。せこい話になりますが、計算過程により、通常よりも1日分助成金の額が増える事になります。

但しこれが数日、例えば上記と同じような4時間訓練の日が2日あるとすると、2時間の時短休業が切り上げで1日に、半日×2=1日分の訓練となり、2日分の助成金+1日分の訓練加算となり、3日あるとすると3日分の助成金+2日分の訓練加算、4日になると、3日分の助成金+2日分の訓練加算、5日になると、4日分の助成金+3日分の訓練加算

というように4日以上になると、訓練加算をしない方が受給額は多くなる可能性が出てきます。まあだから何だという話ですが

※教育訓練をした場合は任意では無く、その事実に基づいて申請をする事が必要になります。

地方税の予定申告経過措置

法人税の申告書作成ソフトで前期データを基に予定申告データを作成したところ、思っていた金額(前事業年度の税額の約1/2)にならなかったので何かミスったかと焦りました。

理由は令和元年10月1日以後に開始する事業年度で、法人県民税・事業税における税率の改正、特別法人事業税の創設が行われたためのようです。当該改正等により、令和元年10月1日以後に開始する最初の事業年度の予定申告に限って従来の前事業年度税額の約1/2にならないという事なります。

具体的には下記の通りです。

  • 法人事業税…前事業年度の割ごとの法人事業税額 ÷ 前事業年度の月数 × 6.3
  • 特別法人事業税…前事業年度の法人事業税の各割の合計税額 ÷ 前事業年度の月数 × 2.3
  • 道府県民税の法人税割…前事業年度の法人税割の税額 × 1.9 ÷ 前事業年度の月数
  • 市町村民税の法人税割… 前事業年度の法人税割の税額 × 3.7 ÷ 前事業年度の月数

なお、法人税、地方法人税、住民税の均等割りは経過措置が無く、従来通りです。

中小企業向け所得拡大促進税制(改正法案)

この御時世なので恩恵に預かる事が出来る企業は減っているであろう所得拡大促進税制ですが、国会に提出された改正法案で所得拡大促進税制についても改正案が含まれています。

従来は継続雇用者という概念を用いて要件の判定を行う必要があったため、要件の判定のステップとして継続雇用者(ざっくり言うと雇用保険の対象者で前期と当期にずっと給与を貰っている人)を抜き出す必要があったのですが、それが無くなり、改正前の税額控除限度額を算定の際に使用している雇用者給与等支給額が1.5%増加しているかどうかで判定する事になるようです。

また、要件判定でも税額控除限度額の算定でも雇用者給与等支給額を使う事になりますが、雇調金等の雇用関係の助成金について受給している場合においては、要件判定の際は控除しないが、税額控除額の計算においては当期及び比較期(前期)共に控除する必要があるようです。

定型印を買う

雇用保険関係等の申請書の提出にあたり、社会保険労務士が申請書を作成する等、係わった場合には、定型印を押印する事になります。

開業社労士の場合は提出代行者印や事務代理者印を押す事になりますが、勤務社労士の場合にも定型印があり、それは事務担当者印ものになります。この事務担当者印の位置づけですが、購入した際に一緒に送られてきた「業務の簡略化に関する事務取扱基準」を読むと、どうやら開業社労士の場合には社労士法施行規則第16条において、責任の所在の明確化のために社労士の名称等についての表示義務の記載があるが、勤務社労士の場合には事業主の補助的立場に過ぎないためにそういった義務は無く、あくまで業務の円滑な処理に資するので名称等の表示について行う事は差支えないという事で、任意のようです。

因みに申請にあたって労働者名簿や賃金台帳等の添付書類を省略できる社労士法第17条の付記についても勤務社労士であっても出来るようです。