前回は適格合併の~について触れましたが、今回は無対価合併が適格になる場合についてです。無対価合併とは文字通り対価の支払いを伴わない合併です。ポイントとなるのは株主の価値が移転しているかどうかにあるかだと思います。
例えばA社とB社という2社の株式を100%ずつ持っているXという人がいたとして、この2社を合併させるような場合には何等かの株主価値の移転は発生しておらず、2社が1社になるという変化はあれどもXさん1人の株主の支配の中で合併は起こっており、何らの価値の移転も発生していません。
つまり、このような場合は価値が移転していない以上、資産や負債の譲渡という事も起こっていないので適格になるという理解を私はしています。また、同様に上記のように1人が2社持っている場合だけでなく、Xとその親族複数人が持っているような場合でもA社とB社の株主構成および各株主の持株割合が同⼀であれば、無対価合併によりそれぞれの株主間で価値の移転が生じていないため、この場合にも支配継続要件は必要ですが適格合併になるという事になります。(法令4条の3第2項2
号)