貸倒損失(後半)

後半では、本に載っていた事例の中から個人的嗜好で適当に要約抜粋しようと思います。

まずは、債務者が夜逃げして行方不明となった場合はどうなるのかという事例です。

法的手続きを経ていない以上、法的手続きが貸倒の原因とはならない事から、前半で御紹介した3つの要件

①債務免除(基本通達9-6-1-4)…債務超過状態が継続し、回収不能

②事実上の貸倒れ(基本通達9-6-2)…債務者の資産状況、支払能力等からみて全額回収不能

③売掛債権の特例(基本通達9-6-3(1))…債務者の資産状況、支払能力等の悪化により取引停止

のいずれかに該当するかどうかですが、解説によると①②は会社の財務状況等が立証出来なければ適用不可、③に関しては取引停止以後1年以上経過という要件も必要なため、当該事例では直前まで取引があったので適用不可となっています。

夜逃げして急に一切連絡が取れなくなった場合は1年経とうが債務者の状況が分からないため、何れにしても③も適用出来ないのではと思うのですが、そこは解釈が違うのでしょうか。

かなり厳しいなと思います。ただ税理士さんのブログを色々と拝見させて頂くと回収努力次第では、ケースバイケースですが認められる事もあるようです。

次はトラブル債権についての事例です。もっと厳しい内容となっています。

つまり、相手方の支払拒絶により債権回収が出来ない場合ですが、解説では取引停止事由がそれでは③の適用は出来ない(国税庁質疑応答事例)という事です。夜逃げでも厳しいのにまあこれは①~③どれも要件満たさないですね。

また、安易な債権放棄もやめた方が良さそうです。貸倒損失計上事由として①が認められなかった時に寄付金扱いとなる可能性があり、金銭債権が消滅してしまうことから貸倒引当金の計上も出来なくなるようです。まあ寄付金の損金算入限度額以内の債権であれば問題無いのでしょうが…。

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