取締役の労働保険上での扱い

労働保険は労働とついている通り労働者が対象となるので、会社との関係で委任契約である取締役は原則として対象外になります。ここで、労災保険においては労基法と同様に「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」が労働者の定義となりますが、取締役でも使用人兼務役員として、社長から指揮命令を受けて業務を行ない、労働者としての立場を有する場合も多くあります。

そのような場合、つまり例えば取締役〇〇部長というような肩書を有する場合において、実質的に労働者的性格が強いと認められれば労働保険の対象という事になります。但し、前提として代表権を有しないかや就業規則の適用があるか、使用人部分の給与と役員部分の報酬がそれぞれ区分されており、使用人部分の給与が多いか等の実態の証明をハローワークに提出する必要があります。

労働保険は上記のような判断となりますが、税法上は法人税基本通達9-2-5において、「法人の特定の部門の職務を統括しているものは、使用人兼務役員には該当しない。」とありますので、事業部を統括する立場の取締役〇〇事業部長等の肩書の場合は注意が必要です。

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