例えば給与が毎月15日締めであるような場合には、決算処理において16日~月末分のいわゆる帳端給与を未払費用として費用計上します。税務上これは債務確定主義に基づき計上されていることになります。
債務確定主義とは、償却費以外の費用で事業年度終了の日までに債務が確定しているものについて当該事業年度に損金算入が認められるという事で、①当該事業年度終了の日までに債務が成立しており、②その債務について当該事業年度終了の日までに具体的給付をすべき原因が発生しており、③当該事業年度終了の日までに金額を合理的に算定できることという3要件(基本通達2-2-12)に該当する必要があります。上記の未払給与でいえば、月末まで勤務実績があるので締日が到来せずとも債務が確定しており、なおかつ勤務実績という給付原因も発生しており、日割り等で合理的に算定できるため損金算入という事です。
一方で企業会計上は保守主義の原則という原則等があるため、債務確定を待たずに見積りで費用計上する事が必要になるケースがあります。例えば賞与引当金ですが、一般的に賞与は支給日までに辞めてしまうと支給しないでしょうし、業績が悪化した場合等は積立額を急に減らすケースも当然あります。ですので債務として確定していないので税務上は金額が実際に確定するまでは費用として計上出来ません。但し会計上は上記の保守主義の原則や適切な期間損益計算が求められる事から、債務として確定せずとも既に発生した労働の対価部分として見込みで引当計上する必要があるのです。
結果的に賞与引当金については税務の所得計算と会計の利益計算で差異が生ずる事になり、調整が必要になる事になります。