無償減資でも書きました減資により欠損填補を行う際の手続きに関してですが、資本金の取崩しなのか資本準備金の取崩しなのか、欠損の範囲内の取崩しなのか否か等によっても手続きは変わってきます。
まず資本準備金の取崩しに関しては、会社法448条、449条により株主総会の普通決議(一定の場合は取締役会決議)、債権者保護手続きが必要となりますが、法務省令で定められた方法で算定された欠損の額の範囲内であれば債権者保護手続きも不要となります。
資本金を取り崩して欠損填補を行う場合には原則として特別決議が必要ですが、欠損の範囲内の取崩しであれば定時総会の普通決議でも可能です。また、資本準備金と異なり、欠損の範囲内の取崩しであっても債権者保護手続きは必要となります。(会社法309条1項、449条)
因みに会計上は資本利益区分の原則により、欠損の額を超えた取崩しを行ったとしても利益剰余金をプラスの値にする事は出来ず、資本内での取崩しとなります。因みに欠損の範囲内での補填が認められる理由としては「将来の利益を待たずにその他資本剰余金で補うのは、払込資本に生じている毀損を事実として認識するものであり、払込資本と留保利益の区分の問題にはあたらない」という考えからのようです。(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準 第61項)