コロナの影響により、無償減資を行う会社が増えているようです。無償減資を行う理由としては、マイナスの利益剰余金を補填するいわゆる欠損填補のための減資という点だけでは無く、この際だからという事で新聞に書かれているような税務上のメリットをとるという意味合いも強いのではと思います。減資により、資本金が1億円以下になると、国税(法人税)では15%軽減税率の適用(所得800万円以下)や交際費の800万円までの損金算入が認められる等のメリットがありますが、地方税でも下記のような影響があります。
まず、資本金が1億円超の場合に負担する事になる外形標準課税の適用が無くなります。資本金1億円以下の会社の事業税は(繰越欠損控除後の)課税所得が出ていなければ課税されることは無いのですが、資本金が1億円超の法人は課税所得が出ていなくても、付加価値割や資本割により赤字であっても事業税が発生する事になります。但し、課税所得が多額に発生するような法人では、逆に外形標準課税の対象であった方が有利となる場合もあります。
また、これは単純に資本金のみの金額ではなく、税務上の資本金等の金額と会社法上(会計上)の資本金+資本準備金のいずれか大きい方を基準として使用しますが、地方税の均等割(都道府県民税、市町村民税)も1千万円、1億円、10億円、50億円の各段階で以下か超かによって税額が分かれるので、これも無償減資による欠損填補を行う事により税務上のメリットを受けられることになります。拠点が少ない会社であれば均等割減額のメリットはそれほど影響は大きく無いかも知れませんが、多店舗展開している小売りや飲食店等の多くの市町村をまたがって展開している会社であれば影響は大きくなります。