事業承継の際においても自己株式の取得は1つの方法として用いられる事がありますが、今回は自己株式の取得を時価よりも低い価額で取得した場合の処理についてです。
この点、取得する法人については、自己株式の取得は資本取引であり、低額で取得したことによって基本的には受贈益の認識は必要ないとされています。但し、あくまで基本的にであって状況によっては認識が必要な場合がある点について触れられている方もおられます。そして、計算された資本金等の減少額よりも取得するための交付金銭等(払戻額)が小さい場合には、全額が資本金等の減少となりみなし配当も生じない事になります。
一方で譲渡したのが例えば個人である場合で時価よりも著しく低い価額(1/2未満)での譲渡の場合には時価で譲渡されたものとみなされます。(所得税法59条1項2号)また、他の株主が親族であるような場合には、低額譲渡により他の株主の持ち株の価値が増すと考えられるためみなし贈与となり、贈与税が課される可能性が考えられます。(相続税法基本通達9-2)