資本性劣後ローン

民間の金融機関からは自己資本とみなされるため、融資でありながら実行されると自己資本比率が上がり、長期でなおかつ儲からなければ利率が下がる夢のような借入という感覚で何かのセミナーで説明を聞いていました。

しかしながら現実はそう甘く無くありません。クライアントの財務責任者の方に政府系金融機関の方とのミーティング時に探りを入れて頂きましたが、ほぼ流されたような形になってしまったようです。メインバンク等の協力は必要不可欠でどうやら手続きも煩雑のようですが、それを差し置いても例えば利益は出ているが研究開発にお金がいるような会社等、そもそも対象となる会社がかなり限られている?というような返事だったようです。

ただ2次補正予算で成立し、コロナ対策として制度が始まった今回の分に関してはあくまでコロナの救済という意味合いがあるかと思うのですが、支援対象となるような会社は、確かに日本政策金融公庫の案内等を見ると限られているとはいえ、実際は相当絞られ、狭き門という感じのようです。

家賃支援給付金

家賃支援給付金のオンライン申請のお手伝いをさせて頂きました。給付額は法人、個人事業主によっても異なり、また賃料の金額によっても変わってくるのですが、例えば個人事業主で37.5万円/月以下の賃料だとその6倍の3分の2、つまり賃料の4か月分が給付される計算となります。

申請は基本的には持続化給付金と同じような感じの流れで進むのですが、賃貸借契約書の写しであったり、自動更新条項により更新している場合には、現在の自動更新後の契約期間について貸主と借主の署名した書類が別途必要であったり等、持続化給付金のようにさくっとはいきませんでした。

持続化給付金は大体1ヶ月弱位で入金があったようですが、どのくらいで入金されるのか、連絡があるのか。ミス無くスムーズに行く事を願っています。

標準報酬月額の随時改定の特例

標準報酬月額は健康保険料や厚生年金保険料の計算の前提となるものですが、この標準報酬月額は、以前にも触れたように報酬が著しく増減した場合には随時改定がされる事となります。

従来の随時改定は、固定的賃金の変動があり、継続した3ヶ月の報酬総額の1ヶ月平均額について著しく高低を生じた(2等級以上)場合にその3ヶ月目の翌月から改定されるものでした。

今回のコロナ特例においては、固定的賃金の変動が無くても、1ヶ月でも休業に伴い報酬が2等級以上下がった場合に本人の事前同意があれば随時改定を翌月からすることが可能となります。これにより従来であれば報酬が下がってもすぐには保険料が下がらなかったのが、次の月から保険料も報酬に見合って下がるようになるため、将来の厚生年金等には影響が出るかもしれませんが、直近で困っている人や会社は少しでも助かるのでは無いでしょうか。

関連当事者との取引に関する注記(子会社からの配当の受取)

関連当事者との取引に関する注記は連結財務諸表を作成している会社の場合、財務諸表等規則と会社計算規則から、有価証券報告書においては連結財務諸表の注記として、計算書類においては個別注記表において開示する事が必要となるため、任意で開示しない場合は有報(連結)と計算書類(単体)で開示内容が異なってくるかと思います。

ここで、連結子会社との取引は連結上は相殺消去されるので、連結上の注記では出てきませんが、計算書類での開示では個別のため、子会社との取引も基準に引っかかれば開示が必要となります。そして、表題()内の配当金を子会社から受け取った場合の開示については、関連当事者の開示に関する会計基準において「配当の受取りその他取引の性質からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引」は開示対象外とするとなっており、会社法上もこれをしん酌する事になると考えられます。

しかしながら、他社例を見ていると個別注記表において子会社からの配当の受取を注記に記載している会社もあるようです。これは積極的開示というよりは、注記の表下の注書もされているのを見ると、大株主である親会社からの意向で配当がされるという事が一般の取引と同様であることが明白であるとは言えないため、記載しないといけないだろうという趣旨での記載なのでしょうか。そうだとすると逆に金額基準等の他の基準に引っかかった場合で、開示対象外となる取引条件が一般の取引と同様であることが明白な配当の受取とはどういう場合の配当の受取があるのかが気になります。

健康保険料の負担

健康保険料の負担は健康保険法161条により被保険者と事業主で2分の1ずつの負担となっています。健康保険組合の場合は事業主の負担割合を増加させることが規約で定める事により可能ですが、協会健保の場合は負担割合を変更は出来ません。

ここで、会社によっては健康保険料を事業主のみが負担している会社があるかと思いますが、これは許されるのでしょうか。

この点、こういった場合においては、会社が負担した健康保険料についても健康保険における賃金(税務上も)となるので、会社が負担したという事では無く、健康保険料込みの給料が給料総額となり、その中から健康保険料を支払ったという形になっているという事で、消費税の税抜なのか税込という感覚に近いような気がします。

休業手当

雇用調整助成金関係について何度か記載していますが、雇用調整助成金を受給するには前提として、休業手当を支払う必要があります。賃金の支払はノーワーク・ノーペイが原則となりますが、労基法26条において「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と定められており、当該条文により、休業手当の支払は法律上の義務となります。

使用者の責に帰すべき事由による休業については、例えば操業度の低下や部品等が入ってこない事による一斉休業等も使用者の責に帰すべき事由となるので、そういった場合には休業手当の支払が必要となります。

ここで、条文上平均賃金とありますが、平均賃金とは原則として、「算定事由発生日以前3カ月間の賃金額を算定事由発生日以前3カ月間の総暦日数で除した金額」となります。(労基法12条1項)

つまり、この計算式によると所定労働日数で除するのでは無く、暦日ベースになるので、例えば週休2日で残業や休出を全くしない場合には大体労働日ベースの3分の2位の額になる計算となります。そして、その平均賃金の60%が休業手当の最低額になります。

雇用調整助成金が支給されるという事もあって休業手当を100%で支給されている会社は多いかと思いますが、休業手当100%支給と言っても、原則的な平均賃金に基づき100%支給をしているとすると労働者側からすると思っていたより少ない…となるんじゃないでしょうか。