個人借入の整理②

前回に続いての表題となります。「自己破産と借金整理を考えたら読む本」によれば、債務整理には任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つに大別される旨が書かれており、そのうち任意整理、特定調停の違い等にざっくりと触れました。

今回個人再生、自己破産についてですがこれら2つについて前者と大きく違うのは債務額が免責される事にあります。但し、手続きを開始するには支払不能(一般的には、毎月の支払額の合計が手取り収入から住居費を差し引いた額の3分の1を超えている状況、但し諸々の事情を総合的に見て判断され、画一的に判断される訳ではない)である状況が必要という事のようです。

そして、個人再生と自己破産の違いはざっくりでいえば債務の一部減額か全部免責かという事になります。また、自己破産は当然資産も全て清算(但し、99万円以下の現金等自由財産は別)となりますが、個人再生の場合には住宅ローンは別債務として扱い、住宅を残す事も出来る事や、ギャンブルによる債務等は免責が認められない可能性がある自己破産と違い、個人再生の場合には免責不許可事由はありません。

いずれにしても自己破産は最終手段である以上、可能性があるのであれば任意整理等の道をまずは探る方が、後々の社会的信用等の影響を考えれば良いのでしょう。

個人借入の整理①

表題が物々しくなっていますが、事業をする上で会社の借入の個人負担なんかするとそれが結果的に自分に降りかかるという事は往々にしてあるかと思います。御多分に漏れず将来的な事を考えると私にも当然その可能性はゼロでは無い訳です。

そんな事がふとよぎった時に、自分はもし万が一、仮にそんな事になったら打つ手、打てる手についてあんまり知らんやん、という事に気づきました。そんな訳で今回はベリーベスト法律事務所が出している「自己破産と借金整理を考えたら読む本」という本を読んでみました。

そもそも段階やその時の状態によるかと思うのですが、大きく任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つの手法が紹介されています。ざーと流し読みしている感じでは左から右に行くにつれてステージが上がっていっているような感じかと思いますが、任意整理と特定調停については、得られるメリットとしては遅延損害金や将来利息の免除、長期返済による毎月返済額の減額という点で同じように記載がありますが、前者は裁判所を通さず、基本的に弁護士に間に入ってもらい私的整理をしてもらうため費用が掛かる点、後者は裁判所を通すため、何度も裁判所に通う必要が出る可能性があることや、返済が滞ると債権者側から強制執行しやすいといった点がデメリットとしてあるようです。

ただ、まだ任意整理や特定調停で行けそうな段階であれば自分次第、自分が頑張ればという印象がありますが、次回は次のステージである個人再生、自己破産に触れたいと思います。

仮払金や仮受金

勘定科目の中には「仮払金」や「仮受金」といった使いようによっては便利ですが、甘えると後々痛い目を見るものがあります。

本来の使い方としては、例えば営業マンが出張の際等に仮払金処理をして一定額を渡し、出張後の精算時に「仮払金」を消し込む、といったようなあくまで一時的な処理として使うような科目なのですが、何か分からん支払や入金の際に、時間が無いから適当に仮払金、仮受金として処理をし、それが放置されて帳簿が荒れるというケースも往々にしてあるかと思います。

かつて上場企業の経理をしていた時も、入社当初は「仮払金」や「仮受金」(でしかも補助コード「その他」)がおぞましい状態になっており、分解して消し込むのにかなり苦労した記憶があります。

頻繁に発生するものについては補助コードを付して、面倒ですが月毎にモニタリングをしていれば、後々更に面倒な事を引き起こさずに済むかと思います。

会社での役割変更

以前から書いていますように人材営業、とは言っても今はガンガン新規開拓をしているわけではなく、既存の顧客から派遣や人材紹介のオーダーを頂いてそこから投入まで繋げたり、従来の派遣スタッフの管理をしたり、といった事を会計士・税理士業務と並行して行っており、どちらかといえば会計士・税理士業務の方に比重が移っていっていました。

それが今年から管理本部へ異動となったため、今は人材関係の顧客や派遣スタッフの引継ぎを進めているような状態です。これまで中途半端に人材営業も会計・税務もやっていましたが、今後は直接的な人材営業からは離れていく事になります。(とはいっても顧問先から人材のオーダー頂ける場合等には当然、積極的に窓口になります。)

そもそも会計士・税理士から派遣や人材紹介の営業をするというキャリアを築く人は多分そうそういないかと思いますが、そんな人生を歩んでいます。今となっては少なくとも顧問先で労働法関係の事や、人材市場の状況とか相場観とか聞かれたときは当然割と答えれたりするのでそれなりにプラスになっているんだろうと思います。

ジュニアボード・マネジメント②

前回に引き続きPHP研究所のジュニアボード・マネジメントに関してです。前回はメンバー構成まででしたが、今回は進め方の概要です。

フェーズとしては、①分析フェーズ ②構想フェーズ ③実行フェーズという形になります。

①分析フェーズでは自社の現状を客観的に把握するために基本的にはSWOT分析を行います。この段階では質より量という事で、とにかくSWOTそれぞれについて数多く出すことが大事だそうです。そして、各メンバーから出てきた内容で類似のものを纏め、その後、それを踏まえて課題を構造化します。

②構想フェーズにおいては、ドメイン設定⇒ビジョン設定⇒戦略設定と進んで行きます。ドメイン設定においてはSWOT分析と同様、まずは質より量です。次にビジョン設定ではなりたい会社像を思い描き、キャッチコピーを作り実現のための目標を定めます。そして、設定されたビジョンを前提として3C(対競合、対顧客、対社内)の視点から戦略を策定します。

③実行フェーズでは部門横断的なユニットを作り、それぞれのテーマに沿った実務的な運営を行う事になります。テーマを具体的な施策に落とし込み、中長期的な目標だけだと個人のモチベーションにも影響するため、さらにそれを個人別の短期目標まで細分化する事により進める事が重要との事です。また、この段階ではジュニアボードメンバーはこのユニットの後方支援がメインとなります。

という形で実行にまで落とし込むという事ですが、当然ながら実際に行うに際しては各企業の組織環境や風土等にも影響を受けるのでそれぞれ適合するようなマイナーチェンジをしながら進める事になるのでしょう。

ジュニアボード・マネジメント①

ジュニアボード・マネジメントという本を読みました。そもそもジュニアボードとは社内の中堅クラスの社員を対象とした疑似役員会の事であり、その起源は1930年代のアメリカにあるようです。プロジェクトチームのように短期的な目的達成のためのチームというよりは主に中長期的な会社の発展に資するような役割となり、①企業経営の改革と②人材育成の役割という大きく2つの役割を担う組織となります。

ここで、上記役割のうち主たる役割は①であり、②はあくまで付随的な役割となるため、会社での立場はあくまでオフィシャルなものであり、経営企画室等に属するのではなく、社長直轄の組織であるべきだと書かれています。

そして、部門横断的な組織形態となるため、メンバー構成については各部門から必然的に集めることになりますが、緊急性が高い場合でない限りは、各部門のエース級ばかり集めるのではなく、顧客等外部との接点を持った営業担当や、上司の受けは悪いが部下からの人望が厚い人材等を混成、つまり多様な人材から構成した方が良いとの事です。

このジュニアボードの進め方については次回で書きたいと思います。

譲渡制限付株式の会計処理

譲渡制限付株式は譲渡制限や譲渡制限期間の付された株式で、法人により一定の無償取得事由が定められているものです。

例えば役員に役務提供の対価としての譲渡制限付株式を事前交付として新株付与した場合(未達時は会社が無償取得)には、会計上は「前払費用××/資本××」という処理を行い、基本的に譲渡制限期間を通して前払費用を費用化していくという処理になります。

また、上記の譲渡制限付株式において、付与した役員が途中で辞めてしまった場合には、前払費用を取崩し、損失計上することとなります。辞めた場合(未達時)に資本のマイナスではなく損失計上というのが直感的にすごく違和感があるのですが、経産省の報告によればこのような処理になるようです。

この点、公認会計士協会が出している「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」ではストックオプションと類似する取引と考えられる事から、会社法の規定から切り離したうえで、ストックオプション会計基準に準拠したあるべきと考えられる会計処理例が記載されています。また、それとは別に上記の前払費用を取り崩す際の相手勘定は損失ではなく、自己株式にすべきという意見もあるようです。

スタッフ管理業務

事務所のブログに書くのも何なのですが、実は派遣スタッフの管理業務もやっています。(当然この事務所の業務範疇では無いです。)新年早々なのですが、スタッフの1人が無断欠勤で音信不通となりました。いわゆる「飛ぶ」というものなんですが、久々にその後処理となりました。

この処理については言うまでも無く虚しい業務となります。勿論私の虚しさなんかよりもご迷惑をお掛けした派遣先の方が宛にしていた人員が突然来なくなるので、生産等にも影響をきたし、虚しいどころの騒ぎではないのですが、とにかくどうひいき目に見ても社会人としてあるまじき行為であることは間違いありません。

百歩譲って事前に不満点を相談されていたりとか、社内の人間関係がある程度わかっているような場合は理由が想像出来たりするのですが、初日からなぜかいきなり来なかったり、後々理由を聞くと、体調不良等の理由で一度休んだ際に引き続き休むのが言い出しにくくて…、とかおおよそ考えられないような理由であったりします。

仕事をして欲しい側としたい側お互いに満足して欲しいと考えますが、上手くいかない事も多いです。

適格現物出資(DES)

金銭債権を有している債権者がその債権を債務者の株式に振替える事をデット・エクイティ・スワップ(DES)といいますが、親会社が業績悪化の子会社に対する貸付金等について、経営支援等の目的で現物出資を行って子会社株式に振替える事があります。 。

ここで、100%子会社に対しての貸付金を株式に振替えた場合には当該子会社株式を保有し続ける前提であれば、当該行為は適格現物出資となり、会計上も税務上も譲渡損益は生じない処理となります。 しかしながら、このDESを行う段階では恐らく貸付金について貸倒引当金が引当てられる等、親会社のBS上の債権額は何らかの評価額とされている場合も多いのではないでしょうか。

この場合、会計上は結合分離適用指針により、親会社が取得する子会社株式の取得価額は貸倒引当金控除後の価額となり、税務上は税務上の債権の帳簿価額が子会社株式の取得価額となりますので、会計と税務では子会社株式の取得価額が異なる事となる可能性があり、税務調整が必要となる可能性もあります。

また、消費税の処理においては、親会社では金銭債権の譲渡として、譲渡対価(簿価では無く時価)の5%が非課税売上となりますのでこの点、注意が必要です。

法人成り②

前回の法人成り①では、個人事業主の最終年度の事業所得の計算について記載しましたが、今回は法人成り後の消費税についてです。

通常は法人成り後の法人の資本金が1,000万円未満の場合には、基準課税期間が無いことから法人1期目と2期目については消費税の免税事業者となるケースが多いかと思いますが、そうならないケースもあります。

まず、法人1期目において、事業年度開始からの6カ月間(特定期間)に売上高も給与支払額のいずれも1,000万円を超えている場合には2期目から課税事業者が強制されます。

また、こちらの方はあまりないかも知れませんが、個人事業主がそのまま100%オーナー株主として法人成りした場合等は、個人事業主時代の基準期間相当期間の課税売上高が5億円を超えていれば、法人1期目から課税事業者が強制されます。